女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第23回










 


黒髪のアマン23(生きた媚薬3)


黒髪の青年は、
もう少し、
もう少しだと、
自分を言い聞かせていた

一言を
たまらず

口にしてしまう。
 


本当は
もっと

彼女を愉しませ、
満足させてから
口にするはずだった。
 


KOKOの

太腿に
手を置き、

撫でる。
 

黒髪の青年の

濡れた指先が、
彼女の体を
濡らしていった。



「………KOKO、

 僕の別荘においでよ」
 


KOKOは

返事をせずに、
ただじっと

探るように
黒髪の青年の目を
見つめ返した。
 

彼女を
自分だけのものに
してしまいたかった。
 


自分ひとりだけのものに。



「君をもっと

 満足させる自信がある」
 

他にどう言えばいいと
いうのだろう。
 


彼女の心を

動かすための言葉は、
考えれば考えるほど、
即物的になってしまう。



口に出すごとに、
こんな言葉では、
どれほど彼女を

愛しているか、

どれほど彼女を

必要としているか、


少しも伝わる気がしなくて、
もどかしかった。

 
熱に潤む瞳で、
じっと答えを乞うように

みつめても、
KOKOは、
答えようとせず、
赤い唇で

イチゴを含むだけだ。



それはとても

魅力的な光景だったが、
今はその唇に
ただイエスと

言わせたかった。



「……KOKO……」
 


KOKOは、
さらに言葉を重ねようとした
黒髪の青年の

口を塞ぐように、
イチゴを含んだ

唇を突き出す。




(続く)













(再)