女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第18回








黒髪のアマン18(ミス・バタフライ2)


「……んっ、……ああ…」
 


深く浅く、
その加減を思い出すまでは、

ただ彼女の
より奥ふかくへと
潜り込みたい一心だった。


彼女の
筋肉の整った長い足を
抱え上げると、

彼女の中も
うねりを変えて、
青年を抱き締めてくる。



「ああ、……KOKO
……愛してる。
君を愛してるんだ……」
 

両足を抱え上げられた
彼女の足が、

黒髪の青年の
がっしりとした腰に
きつく巻き付く頃には、
怖くなった。
 
自分の体が
壊れてしまったようで。
 


庭に出てくる前も、
KOKOと抱き合っていた。
 

いつもならもう、
とっくに満足しているはずなのに、
まだ足りない。



「……ふふ、……またなの? 
困ったぼうやね」


「KOKO……どうしたんだろう、
僕は……こんな…」
 


もう無理だと思うのに、
放出を終えた青年は、
少しも満足できない。
 


彼女の体の中にいる限り、
永遠に終わりが来ないように
感じられた。
 

揺れている間も、
ただしがみつくように
彼女を抱き締めている間も、
頭の中は真っ白に焼き切れていて、
自分が今何をしているのかも
よくわからなかった。


「ん……あ……、はあ…」
 

青年は
KOKOと出会うまで、
こんなふうに
我を失うほどの陶酔を
知らなかった。
 


波に浮かんで
たゆたうような、
絶対的な安らぎも。
 

キスをして、
自分なりに自信の持てる

手順の決まった
愛・撫をして、
手慣れた奉仕をされ、
抱き締めて
幾つかのやり方で抱く。
 

たまには
違った遊びに
手を出すこともあったが、
遊びは
少し変わった

遊びでしかない。
 

そういうものが、
セっ・クスだと
信じて疑わなかった。
 

恋人もそうだ。
 

飽きれば替えのきく、
そういうものだと
思っていたのに。
 


今は、
KOKOと離れることが
耐え難い。

 

KOKOと出会う前に知った、
最初から終わりを予感しながら、
惰性で楽しむような
セっ・クスには、
たしかに少しばかり
飽きていた。
 


だが、
安全で手軽で、
退廃的な気分に浸るには
最適な遊びだった。

 


KOKOは、
そんな青年の世界を、
グラスを落として割るように、
簡単に壊したのだった。




(続く)













(再)