女性のための官能小説 

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第8回



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こんなセっクスが、
この世にあるなんて

知らなかった。
 

それとも、
この胸にこみ上げる

苦しいような
熱いような思いは、
欲情ではなく、
もっと別のものだろうか。


「…あ…ん

 ……ああ、……あああ!」 


彼女が教えた

何かであることに、
間違いはない。


ならば、

彼女にそれが
なんだか

教えてもらうまでのことだ。


「KOKO……もっと

………もっと君と愛し合いたい……」


そう体から吹きこぼれる

汗のように、
胸の奥から唇へと
押し出された言葉に、
黒髪の青年は驚いた。


今、自分は
愛し合いたいと

言った。


口に出してみて、
はっきりとその思いは
形になって湧き上がる。 



腰を強く抱いて

押さえて、
そのまま突き上げる。



肌を打つ音が

響くのも、
濡れた音が

立つのも、
かまってはいられない。


「あっあっああ……っ」


彼女の声が、
背中に耳をつけると

よく聞こえた。
 
彼女の体の中で、
その声は反響して、
触れた肌を通して

伝わってくる。


もっとよく聞きたいと思って、
胸を掴んで

さらに引き寄せた。 


すると、
彼女の中のうねりは、
ひくひくと早く激しくなって、
あっという間に

大きな波の中に、
青年を投げ込んだ。


「……くっ
  ……ああ、KOKO!」
 
青年は、

彼女の胸で
十字をかかげるように両肩に回した腕に、
ぎゅっと力を込めた。


彼が抱きしめた女の名前は

KOKO。


今夜、青年を招待した紳士の、
人生の中で

最も大切な存在だ。


青年は彼女の中で、
幾度も震えながら、

彼女にふさわしいのは自分だと、
今ここで

叫びだしてしまいたかった。




(続く)





(再)