女性のための官能小説 

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第9







 

黒髪のアマン9 (彼女の寝室1)


「………ああ、……KOKO……」



黒い網タイツをはいた
KOKOの膝が、
黒髪の青年の太腿にのりあげる。



腰を抱こうと
腕をのばしたところを、
とんと胸を突かれて、
キングサイズのベッドに
倒れ込んだ。



沈み込みすぎないスプリングは、
きっとこれからの
ふたりの親密な時間も、
より楽しくしてくれるだろう。



「……ふふ、……んっ」



太腿を愛しさを込めて
優しく撫で上げる。


いっそ今すぐ
彼女を包む黒い網タイツを
引き裂いてしまいたかったが、

今はKOKOが
どんなふうにふるまうのかを
知りたかった。



その気持ちが
いつまで保てるかは、
自信がなかったが、

KOKOの長い足に
逞しい腰をまたがれ、

下着を脱ぐこともしないまま、
熱くなった秘密の場所を
擦りつけ合うのは、
たまらなかった。



「行儀良く楽しんで来い」と、
黒髪の青年を送り出した父親は、
どんな顔をするだろう。



ディナーを主催した紳士が、
最も丁重に扱っていた貴婦人の寝室に、
息子がいると知ったら。



いまKOKOの残り香を
追いかけている青年にとって、


普段なら気になって仕方がない
父の顔色や、
淑女たちの間で囁かれる噂も、
とるにたらない
些細な出来事でしかなかった。



KOKOの寝室は、
ドアを開けると薔薇の薫りがした。



ほのかに甘く、
どこか清潔な匂い。



きっと、
それはこれから、
淫らな匂いに変わるのだ。



黒髪の青年自身と、
KOKOの匂いと
混ざりあって。



(続く)








(再)