女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第2回

















「…………」



黒髪の青年は、

たまらず息を飲む。

ときどき親密な視線の交わされるテーブルは、

相変わらず品の良い、

面倒な会話が続いている。


ときおり沸き上がる談笑に合わせて、

微笑みを作ることも、

もう難しかった。



「……っ」



ヒールを脱いだ彼女の

温かな爪先が、

直接彼の


股間を


まさぐっていた。



まるでてのひらで

撫でるように触れたかと思うと、



今度は爪の先で

立ち上がってしまった先端を

きゅっと包み込む。



 その間も、

彼女は隣の紳士と、

今にも口づけそうな距離で、

囁きあっているのだ。



 ふと、

彼女の瞳がこちらを向き、

目が合う。




そのまま

じっとみつめあってしまい、

黒髪の青年は

ごくりと喉が鳴るのをごまかすように、

肉の脂で濡れた口元をナプキンで拭った。




(続く)
========

(再)