女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

”よりぬき”公開










よりぬき 『紳士の贈り物』 より -3


「さあ、KOKO」

紳士は、

ゆったりとく

つろいだあとの

KOKOに、

新しい美術品を

披露するように、

金髪の青年を

引き合わせた。


「……」


KOKOは、

黙って微笑むと、

青年の髪を

興味深そうに

じっとみつめた。


どくんと、

心臓が跳ねた気がした。


木漏れ日と

同じように

ときおり輝く豊かな

金髪の髪に、

鼻筋の通った

彫りの深い顔立ち。


そして、

ぴんとはりつめた

すべらかな肌に

覆われた彫刻のような

逞しい体を

上から下まで

眺める。


その目は、

ぞくりと

青年の官能を

刺激した。


まるでぺろりと、

耳でも舐められた

ような気がした。


目が合っただけで、

背筋を熱いものが

駆け上がって、

青年は肩を

すくめてしまいそうになる。


そのKOKOの

表情を確かめて、

紳士が子供のように

得意げに笑う。


「……気に入ってもらえただろうか?」


紳士の

悪戯っぽい笑顔は、

金髪の青年の目から

見ても、

取り澄ました顔を

している時より、

ずっと魅力的だった。


彼が資産を管理し

仕事をするだけの

機械ではなく、

血の通った

生身の男であることが

感じられるからかもしれない。


「綺麗な髪ね」


KOKOは、

青年をあらためて

じっと眺めた。


髪の先から、

彼女の肌を

万が一にも

傷つけないために

早急に

整えられた

長い指先、

そして

念入りに

鍛え上げられた体を

這うように値踏みし、

満足した顔で

微笑んだ。


女の満ちたりた顔は、

たいてい他のどんな表情より

美しいものだが、

満足したことを

みじんも隠さない彼女は、

ことのほか

魅力的だった。


「さあ、KOKO。

君の欲しいままに…」


「ふふ、…まあ…」


KOKOは

にっこりと、

笑った。












(再)