女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

”よりぬき”公開






よりぬき 『紳士の贈り物』 より 





今まで、

こんなふうに

触れられた

ことはない。


触れて欲しいと

思ったことも

なかった。


そこは

いつも、

忌まわしい

場所だった。


思いどうりに

ならない、

求められれば

与えたくなってしまう

けれど

与えれば与えるほど、

無理矢理

奪われたような

虚ろな気分に

支配されてしまう場所。


けれど、

KOKOの指は違う。


何も奪わない。


何も強いない。


そのかわりに、

本当はどうしたいのか、

教えられているようだった。


「………ああ、………KOKO…」


金髪の青年の、

官能に浸る顔を

KOKOが

凝視しているのが

わかった。

光彩がどんどん大きくなって、

爛々と輝きを増していく。


彼女の瞳は、

悦びに光っているのだ。


「KOKO………」


下着を足先から

抜き取り、

彼女の中へと

招かれる。


「………っ!…あ、……ああ……」


そこは、

しっとりと熱く潤っていた。


女性の内側は、

こんなにあたたかな場所だっただろうか。


あるべき場所に

戻ってきたような、

安堵が広がる。

だが、

それは長く続かず、

すぐに今度は

もっと強い衝動に

支配されるのがわかった。


じっとして、

そのうねりを感じていたいような、

一刻も早く荒々しく

欲望のままに動いて、

その熱をさらに

上げてしまいたいのか、

わからなくなる。


だが、

翻弄されるままで

いいはずがない。


自分は、

彼女の欲望に

仕えるのが仕事だ。


どうすればいい。


どうすべきだ。


青年は必死に

自分を抑えて、

彼女の喜ぶやり方を

観察した。


アンティークのソファに、

ふたりの姿が重なり、

軋む。


ソファを壊してしまわないかと

心配になるほど、

金髪の青年は

彼女の中を

何度も突いた。


彼女の好む

やり方を探るために、

全身を敏感にすると、

どうしようもない快感に

苛まれた。


彼女は

深く突いても

浅く突いても、

熱い吐息と、

体が震えるような

喘ぎ声を上げて

悦んでしまう。


結局は彼女に、

悦びを与えているつもりで、

より深い満足を

得ているのは

自分のほうではないかと思う。


彼女の背を

そっと抱きしめ、

耳元に恭しく

キスをする。


「KOKO………あなたのような人は初めてだ………」


今度は、

KOKOの

滑らかな肩のラインに

金髪の青年はキスをした。


きっとソファから、

KOKOのしなやかな

白い足が突き出て

揺れているに違いない。


「………まだよ…」


耳元で熱く囁かれ、

金髪の青年は

思わずその背を

快楽に震わせた。










(再)