女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

”よりぬき”公開







よりぬき『彼女と彼女の蜜月』より(野バラと蝶2) 



KOKOは、
平然とした様子で、
ジョルジャの唇に
そっと唇を重ねる。

ジョルジャは
驚いて、
身を引いてしまった。

けれど、
首筋に添えられた
KOKOのてのひらに
引き寄せられ、
しだいに
深くなるキスに、
くらりと
目眩を覚える。

何度も
唇を合わせ、
夢中で
舌を絡めるうちに、
ジョルジャは、
青年がいることを
忘れた。

「…KOKO…、君を失うくらいなら死んでやる」

しわがれた声が
響いて、
ジョルジャははっとした。

青年が、
ナイフをだして、
思いつめた顔で
自分自身にナイフを
向けるのを見て、

ジョルジャは
身を硬くした。

KOKOは、
ジョルジャから
一瞬唇を離すと、
彼をまっすぐにみつめて、
言った。

なんでもないことのように。

ごく、
当たり前のことのように。

「…お死になさい。
あなたがそう望むなら。
…あなたの人生はすべて
あなたの選択なのよ」

一瞬、
時が止まったようだった。







(再)