女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

”よりぬき”公開










彼女と彼女の蜜月11(18歳の誕生日4)



「……はあ、はあ、
はあ……」



館まで
一気に走ってきた
ジョルジャは、
息を切らしたまま、
館の門の前で
立ち尽くしていた。
 


どうしよう……。
 


ここまで
来ちゃったけど
……なんて言えばいいの。
 


でも……
会いたい。


あのひとに
会いたいんだもの。
 


……KOKO……! 
 


ジョルジャは
意を決して、
玄関へと向かった。
 


エントランスで、
呼び鈴を鳴らすと、
初めて
この館に来たときに、
バラの籠を
持ってくれた
サーヴァントが
やってくる。
 


なんと言えば

いいのか、
口ごもっている
ジョルジャを、
彼は
じろじろと見た。



「……」
 


値踏みするような
その目に、
ジョルジャは
必死に
平然と
ふるまった。



「昨日はどうも。
またバラの
ご注文は
ないかと思って」



「……」
 


サーヴァントは
何も言わない。



ジョルジャは
執事に
会うことができれば、
またバラを
注文してもらうことが
できるかもしれないと
思いついた。



「……執事の方は?」



「留守だ」
 


それだけ言うと、
サーヴァントは
さっさと奥へ
行ってしまった。
 


ジョルジャは、
気が抜けて
深いため息をついて、
とぼとぼと
門の前まで戻った。



ジョルジャは、
それでも
あきらめきれずに、
子供のように
しゃがんで執事を
待った。

 

どれくらい
たったころだろうか。


向こうから
リムジンが一台
やってきて、
砂埃が
目の前を舞う。



門から

中へ

入っていく。


……帰って

来たんだわ……。
 


ジョルジャは、
慌てて立ち上がり、
門からそっと
中をうかがった。
 


玄関前に止まる
リムジンに向かって、
建物の中から

執事が

出てくる。
 


……いた!
 


ジョルジャが、
執事に
駆け寄ろうとした時、
リムジンの

後部座席から
紳士が
降りてくる。
 


ジョルジャは、
驚いて
足を
止めてしまった。
 


執事が
紳士に一礼し、
紳士に続いて
中に入っていく。
 


ジョルジャは、
声もかけられず
立ちすくんでいた。


 

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(再)