女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第25回










黒髪のアマン25(生きた媚薬5)



「KOKO、

 僕はもう……

 君がいない人生なんて

 考えられない」
 


KOKOを失うことなど、
考えるだけで
耐えられなかった。
 


黒髪の青年は、
下着を

荒々しく

むしり取ると、
KOKOの身体に
むしゃぶりつく。
 


彼女を

かろうじて覆っていた布は、
脱がされることを
待っていたように、
あっさりと

その役目を放棄して、
KOKOの

豊かな乳・房が
こぼれた。
 


ふと、

腕の中のKOKOの意識が、
他へ向いたような
気配がしたが、

胸に顔を埋めて、
彼女の匂いを
胸いっぱいに
吸い込んでいる真っ最中の

青年には、
振り返る余裕は

なかった。
 


目を閉じると、
自分がどんどん
幼い子供に

還ってしまうようだった。



「ああ……、

 KOKO……っ」


彼女の腕が、
ゆっくりと

青年の背を抱いた。

 
思えば、
黒髪の青年は、
母にもこんなふうに
抱きしめられたことはない。



父に

抱き上げられた

記憶もないし、
幼い頃から仕えてくれている

教育係は、
熱心だったが、
甘えさせては

くれなかった。

 
まともに

他人と触れあう機会を

得たのは、
セっ・クスを

知ってからだったことに
気がついて、
黒髪の青年は
よりいっそう強く
KOKOにしがみついた。
 


彼女の爪が、
背を這うのを

合図にして、
また激しく

唇を貪りあう。



舌を絡ませ、
溢れた互いの

唾液を啜った。



「……くっ……、

 はあ……」
 


頭蓋骨に響く

濡れた音は、
プールの水音よりも
ずっと

刺激的だった。


 


(続く)

















(再)