女性のための官能小説  

「イルベント エレローゼ 愛するということ -KOKO-」

公開連載第24回






叶姉妹オフィシャルブログ「ABUNAI SISTERS」by Ameba






黒髪のアマン24(生きた媚薬4)



「……ん…」
 

落胆と、
強い欲情が
同時にこみ上げてきて、
青年をさいなむ。



「……KOKO……、
 君は本当に……

 意地悪だ……」
 


……答えをかわされた。



そう思うと、
腹が立つのに、
目の前の

魅力的な唇に

逆らえない。



「それとも、僕を焦らして、

 愉しんでる?」
 


駆け引きや、
甘ったるい愛の囁きとは

違う声が、
自分の喉から

絞り出されるのが
わかった。
 


自分の声とは思えない。
 

他の女に同じセリフを告げたことがある。
 


けれど、そのときは、
こんなふうに、
鼻の奥は

つんと痛まなかったし、
胸をかきむしるような想いが
全身に

広がることも

なかった。
 


言葉遊びではない

愛の囁きが、
こんなに胸を

焦がすものだったなんて、
知らずいたことにも
気づかなかった。
 


あのイチゴの奥には、
キュートな赤とは違う、
淫らな色の舌が
隠れているのだ。



彼女の答えが聞きたい。
彼女に
自分だけを

愛していると
言わせたい。



 ……このプライヴェート・ヴィラの

 紳士よりも、

自分のほうが

彼女にふさわしいはずだ。
 


それだけのものを、
黒髪の青年は
持っているのだから。
 

そう考えると、
彼女をこのまま
このプライヴェート・ヴィラに

おいておくことは、
罪悪のような気さえした。

 


僕が連れだしてやる。
 

僕がKOKOを、

愛してやるんだ。
 


黒髪の青年は、

そう思った。
 


それ以外の思考は、
もう頭の中に
思い浮かべることさえ

できなかった。

 

黒髪の青年は
胸に沸き上がってくる
マグマのような情熱を
こらえることができず、
KOKOの背中に

逞しい腕を回し、
KOKOの唇から
イチゴを
唇で受けとる。
 


そのまま激しく
唇を奪い合う間に、
イチゴはすっかり
つぶれてしまった。
 

赤い、
甘酸っぱい果汁が、
顎から喉へと

伝うのがわかった。
 


黒髪の青年は、
KOKOの顔を
うっとりとした表情で

見つめる。
 


この世に、
ほかに見るべきものなど
ないという気がした。




(続く)















(再)