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私的備忘録

書名:千に染める古(いにしえ)の色
著者:久保田香里
出版:アリス館
内容:治安三年(1023年)の夏。右大臣藤原実資(ふじわらのさねすけ)の娘千古(ちふる)は十三歳。千古の裳着(成人の儀式)が近づき、準備のためお祭り見物すら出かけられずにいる。千古が息が詰まる思いでいた時、たまたま出会った中級貴族の娘上総(かずさ)の言葉を聞いて、源氏物語の登場人物の衣装になぞらえて襲(かさね)の色をあわせることを思いつく。千古は染物に興味を持ち、乳母子(めのとご)の小鈴を連れてお忍びで染物の工房を見に行ったりして楽しむ。そんな中で従兄の藤原経任(ふじわらのつねとう)からの文を見て、千古は間違って届いたものと考えつつも意識するようになる。しかも母から関白家からの縁談がきていると聞かされて……。

千古という名は、永遠という意味をもつ。すこやかにおとなになってほしいとねがって、つけたのだろう。

屋敷の築地塀(ついじべい)の修理がある。土を掘ることは犯土(ぼんど)という禁忌(きんき)にあたる。土公神(つちぎみのかみ)の災いがふりかからないよう、屋敷をでて方向のよい場所にさけなければならない。


 

書名:奇岩城
原題:L'Aiguille creuse
著者:モーリス・ルブラン(フランス作家)
出版:岩波少年文庫
内容:ノルマンディにある修道院跡地の傍に建つ古い城館のド・ジェーブル伯爵邸で、四月のある夜、数人の強盗が侵入して伯爵の秘書が殺された。伯爵の姪レイモンド・ド・サン=ヴェランが逃げる強盗を銃で撃ち、下男が退路を塞ぐ。しかし、負傷した強盗は見つからず、事件を捜査する予審判事フィユールは頭を悩ませる。休暇中の高校生探偵イジドール・ボートルレは事件に興味を持ち、新聞記者に扮して捜査現場に現われ、強盗達が絵画を偽物とすり替えて盗んでいったと推理する。また、秘書を殺した犯人と強盗は別人であることを指摘する。ボートルレは次々に謎を解き、怪盗アルセーヌ・ルパンの足取りを突き止めてゆく。鉄仮面とフランス王家の財宝にまつわる「エギーユ・クルーズの謎」やガニマール警部、探偵シャーロック・ホームズも絡み、事件は次第に大きく展開してゆき……。
※1908年~1909年雑誌連載、1909年単行本で出版
※原題は「中が空洞の針のようにとがった岩」という意味だが、訳文では「空洞の針」となっている。
※作中にシャーロック・ホームズが登場しているが、当時コナン・ドイルから異議の申し立てがあり、「エルロック・ショルメス(英語の読みでは、ハーロック・ショーメス)」という姓と名の頭文字の交換による作りかえを行った。本訳書では、ルブランの最初の意図どおりにシャーロック・ホームズとし、同じくウィルソンもワトソンと訳されている。
※本作と前作「ルパン対ホームズ」の間に「ルパンの冒険(Une aventure d'Arsène Lupin)」という戯曲(フランスで上演され大ヒットした。のちに小説化された)があり、作中でも過去の事件として言及されている。
 

書名:ドラゴンの塔 下巻 森の秘密
原題:Uprooted
著者:ナオミ・ノヴィク(アメリカ作家)
出版:静山社
内容:魔法使いドラゴン卿ことサルカンに選ばれ、魔法の修業をするアグニシュカ。ところが、幼馴染みのカシアが<歩くもの>に<森>へさらわれたという知らせが届く。手遅れだと反対するドラゴンを押し切ってカシアを救出したアグニシュカは、何とか彼女の穢れを浄化する。しかし、事件を知ったポールニャ国第二王子マレクが魔法使いハヤブサを伴い塔へやって来ると、二十年前に<森>に囚われた王妃を救出するよう強要する。<穢れ人>の疑いがあるカシアを殺すと脅されたアグニシュカたちは仕方なく兵士三十名とともに<森>へ向かう。<森>では魔物との激しい戦いで殆どの兵士が命を落としたが、ようやく<心臓樹>に囚われた王妃を奪還する。けれども、王妃はまるで人形のように何にも反応しない。<森>の侵入を防ぐためドラゴンは残留し、アグニシュカたちは援軍を請いに国王の住まう首都クラリアに向かう。しかし、アグニシュカの能力を認めようとしない魔法使いたち。そのうえ王妃とカシアの処遇を決める審判が開かれることになり……。<森>の罠と次々に暴かれる真相とは?
※著者はニューヨーク生まれ、ポーランド移民の二世。ポーランド民話に親しんで育つ。
※本書の原題uprootedは、「根こそぎにされる」という意味。全編を通して根/根っこrootが暗示的なキーワードになっている。
※本作にはポーランドの風習や料理が取り込まれている。書物を通してアグニシュカの魔法修業を手引きするバーバ・ヤガーも、スラブ民話に登場する魔法使いのおばあさんである。物語の舞台であるポールニャ国はポーランド、ローシャ国はロシアがモデルだろう。
 

書名:ドラゴンの塔 上巻 魔女の娘
原題:Uprooted
著者:ナオミ・ノヴィク(アメリカ作家)
出版:静山社
内容:ポールニャ国の東端に位置する谷間の村々を治める領主は、不死身の魔法使いドラゴン卿だ。百年以上生きている魔法使いドラゴンは、<森>の穢れから領民を守っている。領主であるドラゴンは、十年ごとに十月生まれの十七歳の娘を一人召し上げる。選ばれた娘は谷はずれの塔に連れていかれ、ドラゴンとともに暮らさなければならない。十年経ってドラゴンの塔から出てきた娘は別人のようになり、村には戻らず首都クラリアへ行ってしまう。今年は<ドラゴンの娘>が選抜される年。ドヴェルニク村の樵夫(きこり)の娘アグニシュカは十七歳で、<ドラゴンの娘>たちの一人だ。だが、アグニシュカ自身を含む誰もが選ばれる娘はカシアだろうと考えていた。アグニシュカと同い年の幼馴染みカシアは美しく勇敢で、あらゆることに優れている。一方アグニシュカは瘦せっぽっちで茶色の髪はもつれっぱなしなうえ衣服をすぐに破いたり汚したりしてしまう。何の取り柄もない自分が選ばれることはないと思っていたアグニシュカだったが、十月一日のお祭りの日、ドラゴンが選んだのは彼女だった。アグニシュカを塔に連れて来たドラゴンは魔法の呪文をいっしょに唱えることを要求する。何故そんなことをさせるのか?訳が分からず怯えるアグニシュカだったが、塔を訪ねて来たマレク王子から身を守るため咄嗟に呪文を唱え魔法を使う。そして、アグニシュカは自分が魔女だということを知るが……。
※著者はニューヨーク生まれ、ポーランド移民の二世。ポーランド民話に親しんで育つ。
※本書の原題uprootedは、「根こそぎにされる」という意味。全編を通して根/根っこrootが暗示的なキーワードになっている。
 

書名:てつほうの鳴る浜
著者:森川成美
出版:小学館
内容:文永七年(1270年)五月。肥後(ひご:熊本県)の武士の息子竹崎長種(たけざきながたね)は、父の友人鷹島竜玄(たかしまりゅうげん)の船にしのびこんだ。武士をやめ、商人になるため商人の町博多を目指しての密航である。しのびこんだことが露見し捕まった長種だが、竜玄に唐人の商人鳥飼二郎(とりかいじろう=張英)のもとで修業するように諭される。
※主人公は元寇で活躍した武士竹崎季長(たけざきすえなが)の弟という設定。

「てつほう?」
「大きな石ぐらいの大きさの、陶器でできた丸い球だ。中に、火薬と鉄のかけらをつめるのだ。そして、火をつけて投げると、爆発する。竹の筒を火の中に投げこんだときのように、はぜるのだ」
「それをどうするのですか?」
「もちろん、武器として使うのだよ。破裂するときに、無数の鉄のかけらが飛びちり、敵の体にめりこむ」
 

書籍:カトリと眠れる石の街
著者:東曜太郎(ひがしようたろう)
出版:講談社
内容:1885年4月、スコットランドのエディンバラ。旧市街にある金物屋の一人娘カトリアナ・マクラウドは、学校帰りに馬車に轢かれかけ、馬車の乗客である寄宿学校の女生徒エリザベス・オールデンと出会う。二週間後、父の薬を取りに行った診療所でエリザベスと再会し、旧市街に「眠り病」という奇病が流行っていることを知る。エリザベスの父も眠り病に罹患しており、原因を解明するため患者たちの情報が書かれたドクターの手帳を盗む手伝いをカトリに頼み……。

「サー(閣下)かドクター(先生)をつけて呼びたまえ」
 

書名:イアリーの魔物3 シャドウゴースト
原題:For Benjy - T.T. Shadowghast
著者:トーマス・テイラー(イギリス作家)
出版:小学館
内容:海辺の町イアリーに伝わるブキミノヨルの伝説。ハロウィンの夜にイアリーの町でおこなわれる不思議な光と影のお祭り。十月の終わり、魔海ホテルにマジシャンの一行が宿泊する。ブキミノヨルのショーに出演するというカリアストラは、ホテルの忘れ物係として勤務する少年ハービーの叔母だと名乗る。難破船の生き残りで記憶を失っているハービーは半信半疑だが……。人の影を狩るというシャドウゴーストの伝説をめぐる冒険ファンタジー。

さらし首のケージって呼ばれているものだ。絞首刑にされた罪人を見せしめに入れておく大きな鳥かごみたいなものだ。

 

書名:大力(だいりき)のワーニャ
原題:Die Abenteuer des starken Wanja (大力ワーニャの冒険)
著者:オトフリート・プロイスラー(ドイツ作家)
出版:岩波少年文庫
内容:昔、ロシアのお百姓ワシーリ・グリゴーレヴィッチには三人の息子がいた。三男坊のイワン・ワシリエヴィッチは「なまけのワーニャ」と呼ばれていた。17歳のワーニャは森で盲目の老人に会い、「お前は皇帝になる。そのためには7袋のヒマワリの種を食べ終えるまでパンやきかまどの上で誰とも話さずに過ごして力を蓄えなくてはならない」と言われる。誰とも喋らず寝てばかりのワーニャを二人の兄はあの手この手でかまどの上から降ろそうとするが……。
※1968年初版
※著者はチェコスロバキアのボヘミア地方リベレツという町で生まれ育ち、第二次世界大戦後に、ドイツ南東部のシュロスベルクという小村に移住した。


 

書名:ルパン対ホームズ
原題:Arsène Lupin contre Herlock Sholmès (アルセーヌ・ルパン対エルロック・ショルメス)
著者:モーリス・ルブラン(フランス作家)
出版:岩波少年文庫
内容:数学教師ジェルボワ氏が古道具屋で買ったマホガニーの整理机が、その翌日には盗難されてしまう。これに端を発して、宝くじ絡みのジェルボワ嬢誘拐事件が起きる。さらに王室ゆかりの青いダイヤモンドの指輪を所有者していたオートレック男爵の殺人事件が起き、事件後この指輪をオークションで落札したものの盗難にあったクロゾン伯爵夫人。いずれの事件でも、老警部ガニマールの堅固な包囲にかかわらず、アルセーヌ・ルパンと彼の「女友達」である金髪の婦人は決して脱出不可能なはずの状況下で姿を消してしまう。三つの難事件の真相を解くため、クロゾン夫妻によってイギリスから名探偵シャーロック・ホームズが招聘される。ホームズは当初はルパンの数々の妨害によって二の足を踏み、盟友ワトソンも片腕を骨折してしまい……。
※1906年~1907年雑誌連載、1909年単行本で出版
※作中にシャーロック・ホームズが登場しているが、当時コナン・ドイルから異議の申し立てがあり、「エルロック・ショルメス(英語の読みでは、ハーロック・ショーメス)」という姓と名の頭文字の交換による作りかえを行った。本訳書では、ルブランの最初の意図どおりにシャーロック・ホームズとし、同じくウィルソンもワトソンと訳されている。

マ・スール:修道女への呼びかけの言葉

「ド・レアル夫人という人物などいないで、ただのレアル夫人(ドは貴族のしるし)というのが三階に住んでいる」

書名:ハートソング 作曲家アントニオ・ヴィヴァルディとある少女の物語
原題:Heartsong
著者:ケビン・クロスリー=ホランド(イギリス作家)
挿絵:ジェーン・レイ
出版:BL出帆(For the Best Library)
内容:18世紀のヴェネツィア。生後六か月ほどで養育院の赤ちゃん入れに置かれたラウラは口がきけない。お乳を貰うため里子に出されたラウラは8歳で養育院に戻って来た。数日後、音楽教師のアントニオ神父の試験を受け、ラウラはリコーダーを渡される。やがてラウラはオーケストラの一員となり、秋季演奏会に向けての練習に加わるが……。
※アントニオ・ヴィヴァルディの生涯に基づく創作作品
※画家ジェーン・レイが、ヴェネツィアのヴィヴァルディ博物館で見たピエタ養育院に置き去りにされた赤ん坊の名を記した名簿にあった『ラウラ・1720年生まれ・3170番』という記録。これらをもとに作家ケビン・クロスリー=ホランドが書いた物語が本作である。
※オスペダーレ・デラ・ピエタ(ピエタ養育院)は、修道女が運営する孤児院兼音楽学校。18世紀のヴェネツィアには同じようなオスペダーレがほかに3つあったが、そこには戦争で負傷した人々、住まいのない人々、難病を患(わずら)った人々や物乞いなどが保護されていた。
※本書に登場する若い赤毛の音楽教師は、作曲家のアントニオ・ヴィヴァルディである。ヴィヴァルディはピエタ養育院から数百メートルしか離れていない場所で生まれた。