カトリと霧の国の遺産 | kanoneimaのブログ

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私的備忘録

書名:カトリと霧の国の遺産
著者:東曜太郎(ひがしようたろう)
出版:講談社
内容:エディンバラの旧市街にある金物屋の養女カトリオナ・マクラウドことカトリは、家業を継がず研究者を目標にしている14歳の少女。カトリはエディンバラ博物館で研究助手として働きながら、大学進学のためにラテン語を勉強している。だが、十カ月たっても初学者のまま足踏みしている状態でカトリは将来に不安を感じてもいる。1886年6月下旬、エディンバラ博物館に古物収集家だったバージェス男爵の遺品が寄贈された。呪われた品と噂されるコレクションは、六世紀頃のビザンツ帝国にあったネブラという街からの出土品らしい。しかし、ネブラの場所が何処にあったかは不明で、手がかりは都市の歴史を記した『ネブラ年代記』だけだと言う。寄贈品の確認に立ち会ったカトリは、爬虫類の皮で装丁された大判の本に嫌な印象を受けた。これらの寄贈品は鑑定されることなく夏休みの特別展として7月中旬に公開された。会場の監視の手伝いにかりだされたカトリは、ガラスケースを覗きこんでいた11歳の少女ソフィ・ホールが姿を消すところを目撃した。少女が迷子になったと捜索されるが見つからず、誘拐事件として警察が呼ばれる。事件のあった翌日、カトリは仕事の後の見回り中に特別展示室で不可思議な白い霧と、霧の中に城壁と塔からなる街を目撃する。不可解な体験をしたカトリは、行方不明になった少女以外にも特別展で失踪した人間が三人もいることを知った。週末の日曜日、カトリは幼馴染みのジェイクの家族が経営する宿屋で昼食をとっていた。一緒に食卓を囲むのは、寄宿舎学校の女生徒で良家のお嬢様エリザベス・オールデンことリズ。昨年の春に起きた「眠り病事件」で親しい友人になった二人は定期的に交流を続けているのだ。カトリとリズは連続行方不明事件について書かれた新聞記事を読み、互いの考えを話し合う。それでも何かが引っかかるカトリは、やがて失踪者の名前がネブラ年代記に赤文字で記されていることに気が付く。しかも自分と同じ語源の「カタリナ」という名前も載っていることを発見する。不安になったカトリはリズを巻き込み、二人でバージェス男爵の屋敷へ調べに行き、無人の邸内に忍び込むが……。19世紀後半の英国エディンバラが舞台のファンタジー。
※著者は一橋大学社会学部卒業。エディンバラ大学国際関係専攻修士課程修了。

「霧に巻かれてそこに定住したからネブラ(霧)という名前の街になった」

ソフィア(ラテン語)→ソフィ(英語)
ミハイル(ラテン語)→マイケル(英語)
アガタ(ラテン語)→アガサ(英語)
シメオン(ラテン語)→サイモン(英語)

ラテン語の辞書を開いて「ソフィア」の項目を調べた。
「ソフィア。高い知性、学習、知識を意味する。古代ギリシャ語に由来。中世英語以降はソフィとも」

「カタリナって名前、わたしの名前と同じ語源だったりしますか?」
「そうだよ。カタリナ、キャサリン、カトリオナ。全部古代ギリシャ語の『カサーロス』、つまり『純粋な』という形容詞からきている」
「ゲオルギオスはジョージのギリシャ・ラテン語読みだ」