静嘉堂@丸の内(静嘉堂文庫美術館)で開催中の
静嘉堂文庫竣工100年 ・ 特別展「画鬼 河鍋暁斎×鬼才 松浦武四郎
「地獄極楽めぐり図」からリアル武四郎涅槃図まで」に行ってきた。
(会期:~6/5(日)
幕末から明治にかけ活躍した、絵師・河鍋暁斎(1831~89)と、
探検家で好古家、著述家、北海道の名付け親である松浦武四郎(1818~88)。
暁斎と武四郎は、住まいも近く、共に天神を信仰し、生前深い親交があった。
武四郎が歩いた場所の北海道の地図が床に敷かれていた。
ギャラリーに入室する前にホールの撮影可の写真を撮ってみた。
これらは、河鍋暁斎 重要文化財「武四郎涅槃図」1886年にあるものだった。
「老猿面」は、武四郎の愛蔵品。
『撥雲余興』では暁斎が原寸大で細密にこの面を描いた。
ギャラリーに入った。
展示構成は、
第一章 暁斎と武四郎―『撥雲余興』まで
第二章 暁斎と武四郎―天神信仰と祈りの造形
第三章 暁斎×武四郎=「武四郎涅槃図」
第四章 好古趣味の系譜―静嘉堂文庫と千歳文庫
今回初公開となる静嘉堂所蔵の天神像。
この作品が松浦家伝来『蔵品目録』に掲載されている。
土佐光重「天満宮神影」室町時代(14~16 世紀) 静嘉堂蔵
なお、武四郎が菅原道真(天神)を尊崇したのは、菅公が太宰府に左遷されたことを、自身の境遇(開拓判官を辞し、隠居の身となったこと)に
重ね合わせたからだそう。
圧巻だった
暁斎×武四郎=「武四郎涅槃図」重要文化財
河鍋暁斎が6年かけて描きあげた《武四郎涅槃図》(北海道人樹下午睡図)は、
武四郎を釈迦に見立て、その周囲に釈迦の弟子や十二支の動物たちのかわりに、
武四郎自慢のコレクションを並べ立てた涅槃図。
武四郎の故郷である松阪市の「松浦武四郎記念館」の所蔵だが、
作中に描かれている木彫の仏像や装飾品などを所蔵するのは静嘉堂で、
これらが併せて展示されるのは初の試み。
「大首飾り」 縄文時代〜近代 静嘉堂蔵
「武四郎涅槃図」のどこかに描かれている絵とコレクションを
見つけて見くらべるのが楽しい。
暁斎の作品は、本人は意識してないと想像するが、
これまでも愉快な面を感じさせてくれる。
加えて、武四郎の幼馴染で伊勢の豪商・川喜田家14代当主の川喜田石水
(1822~79)、千歳文庫を創設した、陶芸家・川喜田半泥子(1878~1963)との関りも最後の展示室で紹介されていた。
想像以上に観ごたえもあって楽しめる展覧会でした。