あと5日で終了の東京都美術館で開催中で見逃したくなかった
「永遠の都ローマ展」にようやく行けた。
(会期:~12/10(日)
会場内にはイタリア・ローマのカピトリーノ美術館の所蔵品を中心に、
古代ローマ帝国の彫刻や版画、近代の絵画コレクションなど約70点を公開。
展示構成
Ⅰ.ローマ建国神話の創造
Ⅱ.古代ローマ帝国の栄光
Ⅲ.美術館誕生からミケランジェロによる広場構想
Ⅳ.絵画館コレクション
Ⅴ.芸術の都ローマへの流れー空想と現実のあわい
特集展示 カピトリーノ美術館と日本
カピトリーノ美術館(Musei Capitolini)”といえば
世界最古の美術館と言われる。
印象深い作品を記録しておきたい。
(画像はフリーネットよりいただいた)
「カピトリーノの牝狼(複製)」ローマ市庁舎蔵
狼の乳を飲んでいるのは、古代ローマの建国神話に登場する
双子のロムルス&レムス。古代ローマ建国のシンボル!
ふたりは川に捨てられたところを、寄ってきた牝狼に助けられたという。
ちなみに日比谷公園と味の素スタジアムにも複製が置かれている。
高さ約1・8メートルの「コンスタンティヌス帝」
他にも、胴体は失われたものの、今も残る断片的なパーツ、
「コンスタンティヌス帝の手部、球体(複製)」
往年の巨像のスケールが偲ばれた。
ちなみに、ローマ皇帝コンスタンティヌスは、政治、経済、官僚組織を変革しただけでなく、ローマ帝国におけるキリスト教信仰を公認したことで知られる。
ローマ市内のトラヤヌスのフォルムに建てられた「トラヤヌス帝記念柱」
(113年。ダキア戦争の勝利を記念するもの)のエッチング
柱の外観のレリーフには高さ30mの記念柱の正面の図像を正確に模写し、
撮影可だったナポレオン3世の要請で教皇ピウス9世が制作した石膏複製が2枚。
これ自体が美術品としての価値を有すると共に記念柱の研究資料としても
重要なものだそうだ。
軌跡の初来日をした
「カピトリーノのヴィーナス」2世紀 大理石
カピトリーノ美術館蔵 ※東京会場限定
古代ギリシア最大の彫刻家プラクシテレスの作品に基づく美しい女神像
「カピトリーノのヴィーナス」は、
ミロのヴィーナス(ルーヴル美術館)、
メディチのヴィーナス(ウフィッツィ美術館)に並ぶ
古代ヴィーナス像の傑作として知られている。
「カピトリーノのヴィーナス」が美術館を離れたのは
これまで僅か2回しかなく、まさに門外不出の至宝。
会場に作られた展示空間は壁の装飾を排除し
「カピトリーノのヴィーナス」に集中して360度
好きな角度から観られる環境となっていたから存分に堪能できた。
ピエトロ・ダ・コルトーナ
(教皇ウルバヌス8世の肖像)
1929~31年油彩/カンバス
カピトリーノ美術館蔵
ヴァチカン宮殿の建設や彫刻、ナポーナ広場の大噴水を手掛けさせた。
1590年代 油彩、カンヴァス カピトリーノ美術館 絵画館蔵
©Roma, Sovrintendenza Capitolina ai Beni Culturali / Archivio Fotografico dei Musei Capitolini
ドメニコ・ティントレットはヴェネチアで活躍したバロック期の画家のひとり。
絵の主役であるキリストに自然に目線が向くように周到に計算された
明暗表現がある。
エティエン・デュベラ
「カンピドリオ広場の眺め」1569年 エッチング
ローマ美術館蔵
カピトリーノ美術館は、古代ローマの起源となった「カンピドリオの丘」に建ち、
そこは政治・経済の中心地だった。
単にイタリアから名品を持ってきただけでなく、
日本との深い関係性も明らかにしている
「特集展示 カピトリーノ美術館と日本」。
1873年に日本の明治政府が欧米に派遣した「岩倉使節団」は、
カピトリーノ美術館やフォロ・ロマーノを訪ねていた。
今年(2023年)はそれから150年目の節目の年に当たる。
岩倉使節団が欧米で見聞したモノの多くが、現在の日本の美術館・博物館の礎となっていることが明らかにされている展示に驚いた。
「ディオニュソスの頭部」2世紀半ば 大理石 カピトリーノ美術館蔵
19世紀に日本に伝わり、その胸像や頭像はデッサンや彫刻の教材として利用されてきた「アリアス」の名で好まれている。今回は初来日。
古代遺物やヴァチカンに由来する彫刻、またローマの名家からもたらされた絵画など、その多岐にわたる充実したカピトリーノ美術館コレクション。
すべてに魅せられて滞在時間が3時間近くになった。
上野駅近くにあるカフェで喉をうるおした
スパイシーほうじ茶チャイ
ヨーロッパにおける政治、宗教、文化の中心地として発展したローマの歩み(歴史)と重ねながらダイナミックに魅せる展覧会だった。
次の海外旅行はイタリアと決めていた矢先、
コロナ渦中にあって、それができなくなった。
ここで、ローマ旅行の気分を味わったから、
イタリアに旅しよう、という気を盛り上げてくれた展覧会でもあった。
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