8月下旬から虫の音が聴かれるようになった。
過日、サントリー美術館で行われている
「虫めづる日本の人々」に行った。(会期:9月18日まで)
この日は夏休み期間中なのに、大人で混みあっていた。
今回のサントリー美術館は、日本美術の特色とひとつとして、
草木花鳥とともに、小さな存在である、虫に焦点を当てた企画展!
会場内は薄暗く虫の音が響き、
まるで月明かりのもとを散歩している気持ちになる。
特に印象に残ったのは、やはり伊藤若冲。
重要文化財
『菜蟲譜』は11mの巻物で前半は野菜や果物とのことだが、
虫エリアだけピックアップされていた。
若冲には珍しい巻子作品。
天明の大火によって大阪に逃れていた若冲晩年の作で、
前半に90種ほどの果蔬(かそ、野菜や果実)が描かれ、
後半には50種以上の昆虫や爬虫類(当時は、爬虫類も「虫」にくくられていた)
が描かれている。
それ以外にも印象深いのは、
《野々宮蒔絵硯箱》(江戸時代・17世紀) サントリー美術館蔵
『源氏物語』の「賢木」を題材にした《野々宮蒔絵硯箱》。
六条御息所は源氏との別れの際、庭で鳴く鈴虫の声に寄せた和歌を贈った。
この中に複数の鈴虫が隠れているのを探すのも一興!
《梅樹熨斗蝶模様振袖》(江戸時代・19世紀)3領のうち2領 女子美術大学美術館蔵
江戸時代の裕福な町人の婚礼衣装。
蝶は夫婦円満を表すという。
展示されている2領のほかにもう1領あり、花嫁は婚礼時に、
いわゆる「お色直し」のような着替えをしたそうだ。
《蝶蒔絵香合》(鎌倉時代・13~14世紀) サントリー美術館蔵 重要美術品
増山雪斎《虫豸帖 夏》(江戸時代、文化4〜9〈1807~12〉年) 東京国立博物館蔵 東京都指定有形文化財
喜多川歌麿《夏姿美人図》(江戸時代、寛政6〜7〈1794〜95〉年頃) 遠山記念館蔵 重要美術品
図録解説によると、「恋に焦がれて鳴く蝉よりも鳴かぬ蛍が身を焦がす」
という歌は室町時代から知られていたという。さらに、歌麿は狂歌師としても活躍しており、蛍と恋の結びつきをこうした絵画で表現した可能性があったらしい。
(画像はフリーネットより拝借した)
他にも、渓斎 英泉、国貞、酒井抱一、鈴木其一、上村松園、鏑木清方、
伊東深水、川端龍子など、日本画の歴々の方々の作品もおさえられていて、
非常に楽しい展覧会だった。
思えば高校時代、古文で『堤中納言物語』内の10話ある短編の一つ
「虫めづる姫君」で読まされた。
その展示もあった。
平安時代後期、由緒ある家に生まれた姫君!
当時は「変わった人」と思われていたが、
現代の多様性を認める社会だったなら、よくある話となるのだろう。
姫君が社会の慣習に反し、自立した考えをもっていたようで興味深かった
ことを思い起こす。
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