コートールド美術館展:魅惑の印象派@東京都美術館に行った。
(会期:~2019年12月15日)
コートールド美術館は、
ロンドン中心部のテムズ川沿いにある
元貴族の邸宅、サマセット・ハウス内にある。
ここには、創立者の1人である実業家サミュエル・コートールドが収集した
印象派とポスト印象派の作品がコレクションの中心で、
その後も多くの優れた寄贈作品を受け入れ、
現在では、中世から近代までの多様な美術品を所蔵しているが、
これまで滅多に貸し出されることがなかった名品揃い。
しかし、2018年より大規模な改修工事に入っていて、
あと数年は現地で作品を見ることが出来ない。
それで、ロンドンのナショナルギャラリー
パリのルイヴィトン美術館
および
東京都美術館(巡回展示で愛知県美術館、神戸市立博物館)
に収蔵作品を貸し出された。
今回は東京都美術館で、その名品の絵画・彫刻約60点と資料が終結。
イギリス・ロンドンに行かずに鑑賞できる喜びがあった。
展覧会の構成
1:画家の言葉から読み解く
2:時代背景から読み解く
3:素材・技法から読み解く
ここでは、自分なりに印象深い作品を載せておきたい。
フィセント・ファン・ゴッホ 花咲く桃の木々 1889年 油彩 カンバス
ゴッホは非常に日本にあこがれ、南仏の陽光や空気は日本のそれに似ていると信じていた。
ゴッホはアルルに「日本」的なものを求め、画面右側の雪をかぶった山は冠雪した富士山をイメージしたように、アルルの風景を描いた本作のなかに「日本」を描いている。
手前には桃が華やかに咲き誇り、はるか向こうには山の稜線が見える。
空や地面の描写はまるで点描のようであり、
うねるような筆致で描かれたゴッホの他の作品とは一風変わったイメージを与える。
春の穏やかな空気が感じられる一枚である。
クロード・モネ アンティーブ 1888年 油彩、カンヴァス
1888年、モネが南仏アンティーブに滞在した際に制作したもの。
この地の大気や色に引かれた彼は予定を2ヶ月延長してアンティーブにとどまった。
クロード・モネ 花瓶
1880年代前半、モネは静物画の制作に没頭していた。
本作もその時期に描かれたものである。桃色の花と緑の葉を多様な配色で描いた本作は、
花卉を描いた静物画といっても、17世紀にオランダで多く制作された作品とは一線を画し、
一目見て印象派による作品であることが見て取れる。
実は、花の配置に悩んだモネは本作の制作を中止している。
その後、40年にわたって画家のアトリエに放置されていた本作は、
モネが最晩年になって花弁や葉の部分に手を入れることでようやく完成した。
手始めから、放置していて40年後に完成
コートールド・コレクションが一番多く作品を収集した画家がセザンヌ。
まだ当時認められていなかったセザンヌの先見性・独自性にいち早く目を付けた。
のちに、セザンヌは近代画家の父、と呼ばれる。
ポール・セザンヌ カード遊びをする人々 1892-96年ごろ
2人の男性が向かい合ってカード遊びをしている様子。
同じ題名でオルセー美術館所蔵で、オルセー美術館で鑑賞したことがあるが、
カードを持っている枚数が違うし、雰囲気は、こちらの方が良い。(あくまでも私見)
ポール・セザンヌ 大きな松のあるサント=ヴィクトワール山 1887年ごろ
フランス南部エクス=アン=プロヴァンスにある標高1,011メートルのサント=ヴィクトワール山は、
セザンヌの家の近くから望むことができ、1880年代半ば以降彼が幾度となく描いたモチーフ。
松と山という取り合わせは、日本人にとっても親近感のある組み合わせである。
ポール・セザンヌ キューピッドの石膏像のある静物 1894年
サミュエル・コートールドが一番最初に購入した作品。
複数の視点から眺めたものを、一つの画面に収めている。
実際にセザンヌは、「キュビズムの父」とも言われてる。
その所以を感じられる作品。
エドゥアール・マネ アルジャントゥイユのセーヌ河岸 1874年
マネがアルジャントゥイユに住むモネを訪問した際に描かれており、
こちらに背を向けている女性はモネの妻カミーユ、子供はモネの子ジャン。
穏やかな夏の日、セーヌ川の煌めく川面が美しい。カミーユの白い服と、ヨットの白い帆は軽やかであり、その白さが川の青に映えて、さわやかな印象。
ポール・ゴーガン ネヴァーモア 1897年 油彩、カンヴァス 60.5×116cm コートールド美術館
ゴーガンがタヒチに滞在した時の現地妻。
ゴーガンにしてはめずらしく絵の具が厚塗りされているが、
熱帯の風景を描いたカンヴァスを再利用したことがわかっている。
ジョルジュ・スーラ クールブヴォワの橋 1886-87年頃
この作品はスーラの点描の原点ともいえる作品。
画面全体に点描を使った初めての作品と言われている。
エドガー・ドガ 舞台上の二人の踊り子 1874年 油彩、カンヴァス 61.5×46cm
舞台の正面ではなく、脇の桟敷席から見下ろすような視点が斬新。
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