東京国立近代美術館で開かれている

高畑勲展─日本のアニメーションに遺したもの」 
Takahata Isao: A Legend in Japanese Animation 
 

に行った。

 

高畑勲(1935-2018)といえば、

1960年代から日本のアニメーションを

リードし続けたアニメーションの映画監督である。

 

企画展は高畑監督の生前から準備されていたが、

高畑監督が2018年4月に亡くなったことで、

その意味合いが大きく変わり、

追悼展であり、回顧展にもなった。

 

 

【主な監督作品】

·       「安寿と厨子王丸」(1961)

·       「狼少年ケン」(1963~65)

·       「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)

·       「アルプスの少女ハイジ」(1974)

·       「母をたずねて三千里」(1976)

·       「赤毛のアン」(1979)

·       「じゃりン子チエ」(1981)

·       「セロ弾きのゴーシュ」(1982)

·       「火垂るの墓」(1988年)

·       「おもひでぽろぽろ」(1991)

·       「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)

·       「ホーホケキョ となりの山田くん」(1999)

·       「かぐや姫の物語」(2013)

 

それらの1000点を超える緻密な制作ノートや絵コンテといった

膨大な資料を見ていくうちに、

こんなに純粋で好奇心が旺盛なことに

目頭があつくなってきた。

 

高畑勲は、

“アニメは子どもが観るもの”というイメージが

いま以上に強い時代に子どもだけでなく、大人も楽しむようになった

今日の日本アニメーションの隆盛を築いた

一番のキーパーソンだった。

 

 

すなわち、日常や人物に寄り添い、

心理描写を丁寧に描き出す高畑作品は、

アニメの世界でリアリズムを確立し、

近代美術や映画、音楽、詩にも造詣が深い

彼の創り出した表現手法は、

“アニメーション”の枠を次々と変化させていった。

 

モダンアートとは異なる「絵画の力」によって、

思想を映し出す芸術として

アニメを昇華させたのである。

 

今回の展覧会でもっとも力を入れて紹介されている

ひとつには『アルプスの少女ハイジ』だろう。

 

ヨハンナ・シュピリの児童文学「ハイジ」

を原作に、1974年に全52話で放送された

アニメ「アルプスの少女ハイジ」。

 

当時30代だった高畑勲、宮崎駿、小田部洋一らが

制作スタッフとして名を連ね、

海外ロケハンを行ったことによる

リアルな表現で大自然や街並みを丁寧に描き上げた。

 

多くの資料を通じて、

『アルプスの少女ハイジ』 が、
この当時、いかに革新的で意欲的な

アニメーションだったのかが紹介されていた。

その企画ノートには、

ヤギの生態やチーズ作りまでもがビッシリ

と記述されていた。
これほどまでに作り込まれたアニメだった。

 

会場にセットされたスイス・マイエンフェルトのジオラマ

住んだ山小屋

 

 

 

  ハイジのアップ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  セントバーナード犬ヨーゼフがいる山小屋の中

 

もうひとつは「かぐや姫の物語」

 

『かぐや姫の物語』の原作は、

日本最古の物語文学と言われる『竹取物語』である。

 

日本人なら誰でも知っている物語。

 

制作される約半世紀前、若き頃の高畑監督が

『竹取物語』をテーマにした企画を考えるよう

会社から言われた時、

ふと抱いた疑問がきっかけだった。

 

それは、1960年前後の資料に残っていた。

 

「かぐや姫はいったい何故、何のために地上にやって来たのだろうか」

その疑問に向き合った高畑監督が、

自ら導き出した答えが『かぐや姫の物語』だった。

 

構想50年、企画・制作に8年。

 

粗い描線の「かぐや姫」。

 

高畑勲は新作のたびに新しいスタイルを追求した。

 

「同じことはしたくない」と実験に挑んだ結果だ。

 

私は「かぐや姫の物語」を鑑賞していないから、

是非とも観たい作品となった。

 

高畑勲の次の作品の構想は平家物語だった、

という。観たかった…

 

 

 

他に、高畑勲が魅せられた

奈良美智作品の世界もあわせて堪能した。

 

詩画集とは異なる奈良オリジナル作品 《鳥への挨拶》2006(部分) 

© YOSHITOMO NARA 2006。

 

フランスの詩人、ジャック・プレヴェールの詩を

高畑勲が翻訳し、

 

奈良美智が絵を担当した詩画集『鳥への挨拶』(2006)。

 

 

高畑はこの本を制作するにあたり、

プレヴェールの詩のイメージと奈良の描く子供に

共通する思いを見出し、奈良に共作を呼びかけたという。

 

現在は海外のコレクターが所蔵しているという貴重なものであった。

 

確かに、奈良美智の描く子どもの絵は、

何かを訴えるものがある。

 

結局、私は閉館時間のアナウンスがあるまでいて、

3時間鑑賞したが、時間不足となったので、又、行ってみたい。

 

この展覧会は

高畑勲 やスタジオジブリの作品がお好きな方だけでなく、
芸術全般(美術・映画・音楽・文学etc)の展覧会

という意味でもオススメの展覧会です。

 

 

(詳細)

 

「高畑勲展―日本のアニメーションに遺したもの Takahata Isao: A Legend in Japanese Animation」

会場   東京国立近代美術館 1階 企画展ギャラリー
         (〒102-8322 東京都千代田区北の丸公園3-1)
 
会期   2019年7月2日(火)~10月6日(日)
 
休館日 :  月曜日(9月23日は開館)、9月24日(火)
開館時間  10:00-17:00(金、土曜日は21:00まで)
※入館は閉館30分前まで
 
公式サイト
 

スタジオジブリは、宮崎監督と高畑勲監督の作品を作るために、

1985年に設立されたスタジオである。

 

日本のアニメ史において絶対に欠くことのできない

巨匠二人によるエピソードの数々。

 

そこから浮かび上がってくるのは、高畑監督と宮崎監督の希有な関係性、とりわけ宮崎監督の高畑監督への強い愛情だ。

 

その関係が集約されているものを見つけた。

最後に、スタジオジブリで行われた

「高畑勲 お別れの会」宮崎駿 追悼の言葉【完全版】 - YouTube

 

よろしかったら、ご覧下さい。

 

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