ふらついて真っ直ぐに歩けないと言う | Tへ

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ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

7月の末当りから

珍しく頭痛薬が欲しいとTが言ってきた。

偏頭痛なのか問いかけても返事は曖昧で

頭が痛いと筆談してきた。

市販の薬を渡して様子を見たけれど効いているのか解らない。

翌日も翌々日も

そんな日が続いていた。

倒れて頭や首を打って体中怪我だらけで

その後も深夜に爆音がするほどの音を立てて

倒れることが繰り返されていた。

病気と薬の影響で意識障害もあり

そうなってしまうのだとばかり思っていた。

車の運転も出来ないときは引き返して

目的地へはタクシーを使っていた。

そして今月に入り最近は

ほぼ深夜に起き上がろうとしてひっくり返る。

2階で過ごして寝ようと階下へ降りるときも

ふらついて何かに捕まってゆっくりと歩く。

ここまで動きが鈍くなっている様子に

異変を感じながら何も気付けずにいた。

車の運転も平衡を保てない様子が伺える。

車のドアも締める力が無い。

車椅子に座るときにも足腰が安定せずに

おぼつかない様子だった。

歩き方もフラフラとして何かに捕まらないと

足元が不安定になっている。

買物から帰宅してTの部屋へ行くと

彼がパソコンで病院を検索していた。

脳神経科と言う文字が目に入る。


「頭が痛いの?」


問いかけると首を振り頭に手をやり何かを訴えている。

ボードに文字で書いて貰ったら


「頭を打ってからふらついて真っ直ぐに歩けない。」


確かに異常なほど動きが鈍くてフラフラしている。

そして毎晩深夜にwcに行こうと起き上がる度に

ひっくり返っている。

真っ直ぐに歩けず何かに捕まらないと立っていられない様子も

病気のせいだと思っていたけれど

何度も思い切り頭を打ち付けていることが原因かもしれない。

何故もっと早く気付けなかったのだろう。

救急車を呼んですぐに病院へ行こうと伝えたら

今日は嫌だという。

とりあえずフォロー診を受けている大病院の

脳神経外科へ連絡した。

脳神経外科で受診したことはないが

事務員さんから看護師さんに変わっていただいて

事情を説明した。

本来なら救急搬送ですぐに来て検査した方が良いと言われたものの

Tが救急車は嫌だという。

紹介状はなくても他科で受診を受けているので

明日

予約無しで時間内に受付をしたら診察して貰えることになった。

私の父が癌を患っていた頃を思い出す。

起きたら身体の半分が動かずに足を引きずっていた。

変な歩き方をしていると思ったら

脳溢血を起していた。

Tの額にも首にも腕も足も傷だらけで

額は腫れている。

しかも笑うことが出来ないほど辛い表情をしている。

万が一を考えて今すぐにでも病院へ連れて行きたいけれど

本人が嫌だと言うから

明日、タクシーで病院へ一緒に行こうと思う。

食事もほとんどしないまま本人は薬を飲んで寝てしまった。

嫌な予感がよぎる。

先日、起きてきたTが筆談してきた。


「休む」


と書かれている。

病院の日でもないのに何の事か聞いたら


「会社」


と書いてきた。

寝ぼけているのかなと思ったけれど考えてみたら

この時点でおかしいと気付くべきだった。

他にも午前中にコンビニへ行って昼寝して起きてきたら

コンビニへ行くと言い出して午前中のことを忘れていたり

玄関の鍵を全く違う鍵で開けようとしたり

コップに飲み物を注ぐときもこぼしてばかりいる。

椅子に座っても何度ひっくり返ったことだろう。

スーパーの支払いのカードを間違えて

コンビニのカードでチャージしようとしたり

前日買った市販の薬を

また買いたがったり

家にあると話して数分後に同じ事を言ってきたり

若年性認知症の傾向なのかとも思っていたけど

生傷も絶えないし

何か脳に損傷をきたしている可能性があるかもしれない。

いつものことだと思っていたけれど

Tに今日言われてはじめてそれに気付いた。

明日は彼と病院へ行こうと思う。

家の壁も引き戸も穴だらけだけど

彼の額に刻まれた傷跡も痛々しい。

何度も爆音をさせて倒れていたのは

何か脳に原因があるのかもしれない。

もっと早く気付いて病院へ連れて行けば良かった。

またしても呑気すぎる自分に苛立ってしまう。

やっぱり普通の状態よりかなり異常であるのに

病気と薬のせいだと思い込んでいた愚かな自分。

Tは自分で自分がおかしいことに気付いて調べていたみたい。

あまり泣き言を言わない人だから

Tが気付くまでわからずにいた。

はやく病院で検査しないと不安になる。

手遅れにならなければ良いけれど。