身体が鉛のよう | Tへ

Tへ

ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

「起きろ!こらっ!」


凄まじい剣幕の声が耳に響く。

ハッとして目を覚ましたら既にお昼だった。

疲れすぎているから眠剤を飲むと起き上がれない。

どこからともなく聞えてきた

ヒステリックな男性の声で心臓が止まりそう。

起き上がろうとしても身体が鉛のように重たくて

動きたくない。

熟睡も出来ないけど

自分で起き上がる元気が全く無かった。

ハッピーのごはんのことを

Tは全く気にしていないから朝ご飯をあげるには

とうに時間が過ぎている。

いくら病気だからと言って

自分が面倒を見ると言って連れてきた愛犬なのに

無責任すぎるなといつも思う。

生きている事が辛い気持だった。

こんな体調がずっと続くなら死んでしまいそう。

歯を磨くことすら出来ないよ。

降りてきたTに伝えて教えて

ハッピーのトイレの掃除をして貰った。

買物に行くと言うから

彼一人では無理だから一緒に行った。

車椅子を押す足取りの一歩一歩を意識して

相当な高齢者のように重い車椅子を押す。

このまま

ここで

横になってしまいたい。

身体が重たくて自分がおかしいことが解っていた。

帰宅してからもずっと何も出来ず布団にうずくまる。

動けない。

Tが分けてくれた薬を飲んでずっと横になっていた。

もう疲れた。

関東に戻って一人でゆっくりしたい。

でも

列車に乗る体力など無いしお金も掛かる。

病気のTとハッピーを置いていったら

きっと家の中は汚物で散乱して

めちゃくちゃになってしまいそう。

もう抱えきれない。

疲れすぎて眠剤に手を出した。

周囲で何が起ころうと気付かぬまま

深い眠りに落ちていきたい。

このまま終わってしまうのではないかという不安に駆られる。

遺書を書いておかないとなんて考えながら

ストーンと眠りに落ちていった。

この家で暮らし夜明けを迎えることが

いつの間にか私の中では苦痛になっている。

また今日もしなくてはならないことが多々あって

その五分の一すら手がつけられない。

身体が鉛のようになったとき

生きる事への不安はr常に隣り合わせでもある。

しばらく入院してゆっくりと横になり点滴を打ちたい。

入院したことがないだけに事情は解らないけど

ここを離れて誰の世話をする事も無く一人で静かに過ごしたい。

ハッピーの事が心配だけれど。

Tは話せない分、顔色も険しくキレやすくなった。

筆談の文字が読めないと言っただけで

メモ帳を叩きつける。

不愉快な思いを与え合う関係は良くない。

重い身体に輪をかけて心が落ちていく。

潮時を感じ始めたのは今に始ったことではないけど

私はその程度ではへこたれない。

叩きつけるメモ帳の力を

加減しているTに気付いているからかな。