いつからか
遠くに居ても
Tの呼吸音を耳にする。
勿論
鼻や口からではなく
永久気管孔からの音。
深夜に居間で横になっていても
耳を澄ませば
Tの寝室から聞えてくる。
それが時として
窮屈な息音に変わったら
気管孔が固まった痰に覆われて
呼吸を妨げ彼を苦しめるのを
いち早く気付かないと生命が脅かされる。
だから
彼が穏やかに眠れているか
いつも
気配を感じながら私は熟睡を避けて過ごす。
そんな毎日の繰り返しでずっと寝不足気味で
今日は調子が悪い。
頭が起きても身体が動かない。
朝ご飯を督促して
ハッピーが何度も私にタックルしてくるけど
寝返りが打てないほど頭が重かった。
なんだか気持が悪くて起き上がれない。
時間が経過すればきっと
楽になると信じてじっとしていた。
ここ数日前から食欲が落ちてきた。
嫌な予感が付きまとう。
無理して布団を出たけれど
クラクラしているのは栄養不足なのかな。
ハッピーに食事を与えてトイレや床の掃除をして
Tの部屋で1人しばらくまどろんでいた。
身体を起していた方がきっと楽になると思い
じっと過ごす。
長年、勤務してきた職場を思い
辞めたことを悔やむ気持は残っていて
そんな遠い日の事を思いながら後悔に蓋をする。
仕事に未練は無いけれど
多くの人との関わりで
思い悩む事が多々あって
気持が整理できずに回想するばかり。
一昨日
カレーが食べたいと言われて牛肉を購入したけど
肉の量が多いからネットで他にメニューを検索して
プルコギを作ろうと思った。
家に砂糖は置いていないから
つゆの素を少し加えたらいけるかな。
少しばかり調子が戻ってきたから
階下に降りてお弁当を作った。
スーパーのお総菜は美味しいけれど
出来れば手作りで食事を摂って欲しい。
大した量ではないし
作ることに手間はかからない。
体調が良ければ料理する事に苦を感じないし愉しい。
逆流しながらも
手作りだと気を遣っているのか食べてくれるから
Tが食べやすいようにお弁当を詰める。
出来上がったお弁当を起きてきたTに渡した。
夕方、中身を見たら一口だけ残していたけど
食べてくれて良かった。
季節が訪れる前のチューリップと桜を飾って
プルコギのお弁当を詰めた。
残り物のポテトサラダは下に引いて
残っていた菜の花の辛子和えも
隙間に入れてみた。
明日は残りの肉と安売りの野菜を使って
カレーを作ろうかな。
食べて貰えるか不安だけど
インドのカレー料理の動画を見せたら
きっと食べたくなると信じて作ろうと思う。
お弁当にチューリップなんて
大人の男性は職場で食べ辛いとわかっていながら
少し遊んで作ったお弁当。
完食前に蓋を閉じてしまう気持も解らなくはない。(写真↓)