青い空とブルーな心 | Tへ

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ブラックタイガーに濯ぐ .◦☆* 。*◦*~♪

元旦を迎えた朝

まだ暗いうちから眠れずに天井を見上げていた。

脇で眠っているハッピーを気にかけながら布団から出て

前日に出し忘れていた、しめ飾りを玄関に飾った。

ハッピーが物音に気付いて起きてきたから

しばらく撫でて放っておいたら

寒いのか再び布団にもぐっていった。

日が昇り

いつもより早い時間にTが起きてきた。

すぐ出かけたい様子だったけど

差し入れ用の筑前煮を仕上げたり

ハッピーのトイレの掃除や他にも片付けがある。

Tにハッピーを見てもらっている間に

それらの用を済ませた。

その後に訪問先で自分達が飲むお酒を買いに行った。

仕事をしていた頃は

熱燗を6合は飲めたのに今はきつい。

飲めなくはないけれど無理に飲む気もしない。

お正月は毎年安いワインを飲んでいたのを

今年は日本酒にした。

日頃、化粧をしないから

メイクの仕方すら忘れてしまっていた。

ファンデーションを塗るとなんだかテンションが上がる。

表情が明るく化けるせいかな。

仕事をしていた頃に比べて

お洒落にお金をかけなくなった。

かかとの高い靴もやめたし普段着は

ほころびた服ばかりの着回しだった。

必要に迫られて買う服もセール品の500円で

そんな節約が意外と楽しかったりもする。

準備が出来てTの両親の家にお邪魔した。

前日に調理した筑前煮と先方で出された

お節をいただいた。

Tが話せないから私が出しゃばってしまう。

彼の母の話にTに変わって相づちをうつ。

話せない切なさはきっと

筆談では埋められないもどかしさがあるのだろうな。

書きかけてやめてしまう事も何度となくあった。

お節をいただきながら

途中で逆流しそうになると

Tは洗面や流し場へ立って行った。

失礼に当たるかもしれないけど不憫だなと思う。

食べたくて口に入れて吟味して飲み込んだはずが

全て食道に流れずに逆流して

容赦なく口や鼻から出てしまう。

こればかりは

どうにもならないだけに本人も相当困っているし

人前での食事を我慢してしまわざる終えなくなる。

訓練とコツを掴むしかないのかな。

日によってはスムーズに食べられる日もあるのに

人の身体はデリケートなだけに難しい。


日の当たる暖かいリビングで

お節をつまみながら日本酒を口にした。

Tの兄弟も息子さんも甥っ子や姪っ子も

まだ来ていなかったけど

なんだかのんびりと寛げて心地良かった。

彼の父は綺麗好きだから部屋中がピカピカで羨ましい。

お金を払ってお父さんに家を掃除に来て欲しいと思うぐらい。

広い家の中を毎日きちんと掃除して素晴らしいなと思う反面

私は凹んでいく。

キチンとしたいのに出来ないジレンマで嫌になる。

片付けたいのに掃除が追いつかない。

頭の中で片付けるシュミレーションは

何度もしているのに出来なくて悔しい。


2日目の朝に眠れずに布団から出て

作業をしようとパソコンを見たら

Tが検索した画面が開いたままになっていた。

年末年始のゴミ収集。

ゴミを捨てることに神経質になっている私を

気遣ってくれたのか

それとも恐かった?

いずれにしても彼がゴミ捨ての日を

気にかけてくれていたことが奇跡に近いほど

嬉しかった。

調べて忘れてしまっているかもしれないけど

すごく嬉しかった。

元旦2日目も遠出はせずに

2人で飲み物を買いにコンビニへ行った。

Tの呼吸が苦しそうで、ゆっくりゆっくりと歩いた。

わずかな距離なのに呼吸が上がって苦しいみたい。

途中の花壇ブロックに座って行きも帰りも休憩した。

会話もなくTと二人

静かな通りを眺めてボンヤリ過ごす。

空は青く陽気も暖かいのに風が冷たくて

つい寒いと口にしてしまう。

そんな私を気遣って呼吸が落ち着いていないのに

Tは立ち上がって歩こうとしてくれる。

端から見たら何でもない関係に見えるかもしれないのに

私たちが抱える

あたりまえではない状況にベソをかくばかりの日々。

空はこんなに青いのに

心の中は中々晴れることのない曇り空に覆われている。

例えば無人島で私たちだけならば

そんな思いに囚われないのかな。

それならば私たちが当り前の規準と思えば

心は楽になるのかもしれない。

難しいけど理屈で語って誤魔化しても

現実は打破出来ない。

神様に願うより現実的に名医を探したい。

彼にシャントの手術をしてください。

彼が声を取り戻すことは

生きる糧に繫がると信じています。

元旦に持参した筑前煮と

御馳走になったお節の写真です。↓