ジェジュンの自分に向けられる気持ちは、何となく解っていた。
抱き締める時に恥ずかしそうに紅くなったり、手を繋ぐと嬉しそうに微笑む。
そんなジェジュンの反応が嬉しくて、気付けばユノもジェジュンに恋愛感情を抱いていた。
夢に向かって一生懸命に歌やダンスを練習する姿や、バイトで疲れているであろうに、
手を抜かない姿勢に心を打たれていた。
いつも自分に歯止めを掛けてきた。
一緒に寝た時に見せる無防備な唇も、抱き締めた時にすぐ近くにある白い首筋も、細い腰も
全てを自分のものにしたい衝動を何度抑えてきただろうか。
今の関係がもし壊れてしまったら?
一緒に夢を追いかけるのに、変な雑念を入れたくない。
自分たちの想いを遂げることを優先してしまったら、
それが障害となるのかもしれない・・・・。
ジェジュンが夢のためにどれだけ頑張っているか、知っている。
だから即答した。
「大切な親友だろ?」
いいんだ、これで・・・・。
だって、これからもジェジュンのそばにずっと居たい。
ユノは堪えるように抱き締める力を強めた。
帰りの電車の中で、ジェジュンは無口で元気が無かった。
親友だ・・・・とユノが言った言葉がジェジュンの淡い期待を打ち砕いていた。
その夜、ユノはジェジュンの家には泊まらず、実家に帰った。
泊まって、もしジェジュンが自分にすがって泣いてしまえば、あっという間に決壊が崩れ
欲望が泉のごとく湧き出て、もう自分を抑えることは出来ないと思った。
そしてベッドの中で、ユノはジェジュンが自分に組み敷かれ、紅い唇から熱い息と
甘い喘ぎ声を出す姿を想像して、自慰をした。
ユノがぱったりと俺の家に来なくなった。
最近はレッスンのあと、まっすぐ実家に帰るか、ジュンスの家に泊まっているらしかった。
練習場では、いつも通りに話したり、くっついたりしていて周りからも変化がないように
思われていたが、確実に俺の中では違っていた。
「よっす!なーんか最近元気無いんじゃない?」
突然後ろから肩を組まれて、ヒチョルヒョンが声を掛けてきた。
「え?そんなことないですよ」
「そう?ぼーっとしてること多いよ?気付いてる?」
「そうですか・・・・」
「なんか悩んでるの?そういえばユノもおかしいよねぇ」
「え?ユノが?」
「うん、なんか心ここに在らずっていう感じでさ、なに考えてるんだか。
おまえら、喧嘩でもしたの?でも前と変わらずいつも一緒だしなぁ」
さすが、ヒチョルヒョンは敏感だ。それに人の表情を読み取るのが上手い。
いつもバカなことばっかり言ってるけど、実は周りをすごくよく見ている。
天性の才能だと思う。
この人はアイドル歌手よりも、俳優とかプロデューサーなど
作り上げていく仕事の方が向いてるんじゃないかと思う。
「ヒチョルヒョン・・・・俺・・・どうしたらいいか・・」
泣くつもりなど無かったのに、涙が溢れてきた。
「ちょっ!おいおいどうした?話してみろよ」
練習場から出て談話室に行くと、自販機でジュースを2つ買って
ヒチョルヒョンが俺に渡し、座るように促した。
「ほらよ。少し落ち着いて話そうぜ」
「あ、はい、頂きます」
「なぁ、ジェジュンさぁ、ユノの事が好きなんだろ?それで悩んでるんじゃないの?」
図星を指され、口に入れたジュースを吹きそうになってしまった。
「ゴホっ・・・・え・・・・・あ・・はい・・・
変ですよね、同性にこんな気持ち持つのって・・・・」
「俺は別に性別は関係無いと思うよ。偏見もないし、個人の自由じゃねぇの?
それに・・・ユノもジェジュンのことが好きだよ、絶対に」
「なんでそう思うんですか?」
ヒチョルヒョンがジュースを一口飲んで、ふうっとため息をついた。
「そりゃ、見てりゃわかるっしょ、大事そうにしてるもん、おまえのこと」
「でも、それは親友としてじゃないですかね。
この間はっきり言われましたよ、大切な親友だって」
「うーん、おまえとの関係を崩したくないし、これから夢に向かって進み始めるってときに
そんなことに気をとられてはいけないって思ってるんじゃない?ユノってそういう男だろ?」
「そうですけど・・・」
「思い切って寝込みを襲うとかは?」
いたずらっぽく言うヒチョルヒョンは少し面白がってるようだった。
「ぶっ・・・そんなこと出来ませんよ。それに最近ユノはうちに泊まりに来ないし」
はっとした顔をしてヒチョルヒョンが俺の耳元で小声で言った。
「それはきっと、おまえを襲いそうになるからだよ」
襲う・・・という言葉に、ユノが真剣なまなざしで俺を見つめて
そのままキスされるんじゃないかと思って胸が痛んだ、あの日を思い出して
顔が赤くなってしまった。
「そ、そんなわけ無いですって・・・・・」
(つづく)