冷めない微熱 5 (小説) | 空は繋がってる…

空は繋がってる…

同じ空の下、君が笑っていることを願うよ




「でもさ、今だから言うけど俺、初めて見たときから、
ジェジュンって可愛いよなぁって思ってた」

「俺も思ってた」



酔ってることもあって、ヒョン達がジェジュンの顔をまじまじ眺めて、肩を抱いて引き寄せた。

その瞬間、ユノの中でざわっと胸を駆け抜けるような怒りが沸き上がるのを感じた。


「肌も綺麗だし、そこらの女の子より可愛いんじゃない?」

「唇も赤くて柔らかそうだし、ちょっとキスしてみない?」


2人のヒョンが両側からジェジュンの顔をのぞき込み、唇を近づけてきた。

「ちょっと、ヒョン達、やめてくださいよー」


ジェジュンが苦笑して顔を背けると、懇願するような目を一瞬ユノに向けた。


ガシャーン!!


器に箸を叩きつけたユノが腰を浮かせて叫んだ。



「やめてください!!ジェジュンは俺のなんで!!」




「・・・・・・・・・」





結局、みんなが帰ったのは深夜で、ユノはそのまま俺の家に泊まった。

2人になった部屋で、片付けを済ませてベッドに行くと、
ユノが横になってイヤホンで音楽を聴いていた。

俺に気付き、端に寄って一人分のスペースを空けると、手招きした。

「ジェジュンア、疲れたろ?もう寝よう」

ベッドに入ってユノの肩に頬をくっつけると、ユノが俺の髪を梳いた。

ユノは誰に対してもこんなふうに髪を梳くんだろうか。

もし俺が女だったらすぐに勘違いしてしまうだろうな。

それか俺のことを猫か犬のような感覚で撫でているのだろうか。



ユノとこうしてくっついて眠る時間がなにより大好きだ。
時間が止まってもいいから、いつまでもこうしていられたらいいのに・・・・

ねぇ、ユノはどう思ってるの?


俺の切ない想いなんてお構いなしに、寝付きの早いユノは電気を消して横になると
すぐに寝息を立て始めた。







「あっははははっ」

次の日、ヒチョルヒョンが一緒に居たヒョンから事情を聞いたらしく
爆笑しながら俺に話かけてきた。

「あいつらユノにすごい形相で睨まれたって!
ユノを敵に回すと、背骨を折られるからね。
誰も敵わないでしょ、あっはははー!おまえは愛されてるなぁ」

俺の背中をバンバン叩きながら「お熱いことで」と言うので

「痛い、痛いですって!ユノには冗談が通じませんから、わかってやって下さいよ」

と切り返した。

「冗談を本気に捉えるほど、おまえにムチュウなんだなぁ」

俺の肩を組んできて、頬をつっつかれた。

「もう、そんなんじゃないですよぅ」

「おまえの気持ちはどうなのよ?まぁ、聞かなくても分かるか」


「・・・・・・・」


「え?ジェジュン?・・・・まじで?」


「・・・・・・・」


「あらら、本気だわ、こっちも」

赤くなって俯いてしまった俺を見て、ヒチョルヒョンがはぁっとため息をついて呟いた。

「切ないねぇ・・・・」

そして俺の頭を優しくぽんぽんと叩いた。







鬼コーチの激しいダンスレッスンを終え、ユノと俺は外に出て、いつもの非常階段に座り
ユノが買ってきてくれたチョコパイを半分に分け合って食べていた。

「ジェジュンア、おいしい?」

「うん」

ユノがニコッと笑って俺を見つめたので、恥ずかしくて下を向いた。

「昨日はごめんな、大勢で押しかけてさ」

「もう、いいよ。また今度泊まりに来て」

「うん・・・・・なぁジェジュンア、今度2人でどっか行かないか?」

「え?どっかってどこに?」

「どこに行きたい?」

「そうだなぁ・・・・・海とか」

「4月に海?」

「うん、ねぇユノ。春の海って見たことある?
みんな海に行くのは、夏でしょ。春の海がどんな感じか見てみたい」



とっさに海を思いついたのは、キラキラ光っているであろう春の海が、
きっとユノに似合う気がしたからだった。


暑い夏のギラギラ眩しくて元気すぎる海じゃなくて、
キラキラ清涼感のある穏やかな春の海・・・・。


「よし、じゃあ、海に行こう!」



幸い、バイトの給料日の後だったので、電車賃くらいは出せるけど、そのあとは
ちょっと切り詰めて生活しよう、と思った。



ユノと2人きりで一緒に海を見に行くなんて、きっとこれからそんなチャンスは
二度と訪れないような気がして、俺は、生活費を犠牲にしてもいいと思ったんだ。









(つづく)