こんにちは。ゴールデンウィークに入りましたね。

いかがお過ごしですか?

楽しい予定で埋まっている方もいらっしゃることと思います。

 

私はといえば・・・。普段と変わらずです。

でも、外に見える景色は美しい緑でいっぱい。

深呼吸をしながらそれなりに機嫌よく過ごしております。

 

先日、旧友から素敵な本をプレゼントしてもらいました。

「パリのおばあさんの物語」 スージー・モルゲンステルヌ 著  セルジュ・ブロック イラスト   岸惠子 訳 千倉書房

 

老いを受け容れながら前向きに生きるおばあさんの話です。

 

フランスでは有名な絵本だとか。女優・岸惠子さんが初めて翻訳した本ということでも知られているようなので、ご存知の方も多いかもしれません。

 

まずは出版社の紹介文をご覧いただきましょう。
長らくパリに暮らしてきた女優の岸惠子さんが、フランスで20年以上も読みつがれている絵本を翻訳し、上品な大人の物語にしてくれました。
パリに暮らす一人のおばあちゃんが、過ぎ去った昔を振り返りながら、いまの日常を語ります。
「年をとると思うようにいかないことも沢山あるけど、それを自分なりに前向きにとらえて生きていくわ。」
誰だって何かしら事情を抱えています。それを悔やむのでなく、明るく片付けていく生き方・哲学が伝わってきます。
文章の端々に目をこらすと、ユダヤ系であるが故におばあちゃんが苦労してきたことも読み取れます。
フランス生活40年の岸さんならではのメッセージです。

 

描かれているイラストが可愛らしいので(帯に描かれているおばあさんをご覧ください。あのタッチのイラストがたくさん描かれています)ほっこりしているのかと思いきや、なかなかほろ苦いお話です。

 

一人暮らし。力は弱くなり、体も痛い。忘れっぽくもなっている。

 

そんなおばあさんの今が、第三者の視点で綴られています。

私には岸惠子さんが語っているような感じに思えました。

 

冒頭から、老いによってできなくなることが淡々と語られていきます。例えばこんな感じです。一部抜粋させていただきます。

 

 「おばあさんは鍵を失くすのがとても怖いの。

 古いおさいふから取り出して

 鍵を開けて元に戻すまで、気が気ではありません。

 やっと取り出した鍵を気むずかしい錠前に差し込むのも一苦 労なのよ」

 

できなくなることには、好きだったことや得意だったことも含まれています。

私の将来(それもそう遠くはない)に待っていることなんだなぁ・・とリアルに感じ、読んでいるうちに切ない気持ちになってしまいました。

 

ただ、このおばあさんは悲観しているわけではないのです。

 

舌打ちしたり、ののしったりしてしまいそうなことも、考え方をちょっとずらして柔軟に、そしておちゃめに受け容れます。

というのは、こんな姿勢でいるからです。

 

ともかくも、と彼女は思います。

「やりたいこと全部ができないのなら、できることだけでもやっていくことだわ」

 

そしてもうひとつ。

私が一番ハッとしたおばあさんの言葉がこちらです。

 

「わたしの分の若さはもうもらったの。

今は年をとるのがわたしの番」

 

ナチスによる迫害も経験したおばあさんは、苦難の人生を歩んできた人でもあります。

今、子どもたちや孫が幸せに生活をしていることを嬉しく思っています。でも、彼らの幸せが、また突然の不運に襲われるのではないかとおびえる気持ちは消えていません。

 

私が彼女の立場なら、自分の運命を呪い社会や誰かを憎み続けてしまいそうです。

別の人生であったなら・・・と思うかもしれません

 

でもおばあさんは今、ためらうことなく言えるのです。

それはどんな言葉なのかというと・・・・。

 

ここに書きたいのですが、この作品のラストの言葉として記されていますので、控えることにしますね。

気になった方は、ぜひ読んでみてください。

 

私もいつかはこんな境地に達することができるのだろうか?

年を重ねたからといって自然に辿り着くものでもないような気もする。これからの生き方にかかっているのだろうか???

 

などなど色々と考えさせられる作品でした。

 

そうそう。実はこちらの本、帯をとると少し雰囲気が変わるんです。

内容のイメージに、とてもしっくりくる表紙だなぁと思いました。

 

薫 20240428

フランスの絵本といえば・・・。額田がこちらの作品をご紹介していましたね。併せてどうぞ♪