こんにちは。
朝の青空が、だんだんと曇ってきて気温が下がってきました。
あたたかくしてまいりましょう。
前回は額田が、星野道夫氏の展覧会のお話しとともに、こちらの本の紹介をしていましたね。
入り口にもあったというシロクマの写真、迫力ありますねぇ。神々しささえ感じるものでした。
展覧会は1/22(日)までとのこと。
ご興味がおありの方、まだ間に合いますよ。
さて、今回は写真家さんの本繋がり、ということでこちらの本について書こうと思います。
「森の探偵」 無人カメラがとらえた日常の自然 宮崎学 文・構成 小原真史 亜紀書房
※こちらは2017年に刊行されたものです。2021年に新装版が出版されています。
出版社の紹介文をそのまま掲載させていただきます。
暗い森へ分け入れば、
まだ見ぬ自然が見えてくる
無人カメラを相棒に、森の探偵は今日も行く
手掛かりを読み解き、カメラを仕掛け……
森の中で撮影された、“決定的瞬間”の数々!
独自に開発した無人カメラのシステムを駆使し、野生動物の素顔や変容する自然の姿を撮影してきた写真家・宮崎学。
あちこちに仕掛けた無人カメラがとらえた写真の数々は、自然を読み解くためのヒントに溢れている。
決定的な証拠写真に目を凝らし、自然の発する声なきメッセージを読み解く宮崎は、まさに「森の探偵」である。
半世紀にわたる、森の調査報告書。
私がこの本を読むきっかけは、NHKの番組「日曜美術館」の宮崎学氏の特集を見たことでした。
放映は1年くらい前で「アニマルアイズ~写真家・宮崎学」というタイトルがつけられた回でした。
みなさんの中にも、番組をご覧になった方がいらっしゃるのではないでしょうか?
この番組を見て、私は宮崎氏のことや、彼が撮る動物たちの写真に非常に興味が湧き、そして、こちらの本に行き着きました。
宮崎学氏について簡単に説明させていただくと・・。
長野県伊那谷を拠点にして、半世紀以上の長きにわたり森の中の野生動物たちを写し続けてきた方。
近年、「自然界の報道写真家」と称して活動されていることでも知られています。
彼がおこなう無人カメラの撮影は、赤外線に触れた動物の動きによってシャッターがきられる仕掛けになっているので、いってみれば動物によるセルフポートレート。
とにかく、動物たちの表情がとても魅力的。まさに素顔。
この本の表紙に写るテンも、いい顔してます。※拡大させていただきました。
実は私、最初、この本は写真集的なものかな?と思っていたんです。(早とちりしていました笑)。
実際は、宮崎氏とキュレーター・映像作家である小原真史氏との対話を主にした対談集。(もちろん写真も多く挿入されていますが)
とても読み応えのある一冊でした。
魅力的な写真の誕生の裏には、手作りの機材と緻密な計算、長年の経験値があってこそ。
けものみちを見つけ、動物の習性を考え、工夫を凝らした自作のカメラを設置・・。そんな話がたっぷりと収められています。
個人的には、個体識別しにくいツキノワグマを、指紋ならぬ「鼻紋」と「股間」とで識別できる装置を考え出した話にはびっくり。
「クマクール」と「マタミール」と名付けたこれらの装置。
どんな仕組みになっているかは、ぜひお読みになってみてくださいね(^o^)
あとがきで宮崎氏がこんなことを書いていました。
「自然を相手にするには写真学校で教えてくれるようなセオリー通りの考えでは通用しないので、動物たちのサインを読み解く教科書は自分で作るしかなかった」
この本を読んでいると、宮崎氏が独自に作り上げてきた「教科書」をたっぷりと見せてもらっているような気持ちになります。
また、被災地での野生動物の姿、東京都心での外来種の鳥の群れ、都心のゴミ袋をあさるアライグマなど。
人間社会のすぐそばで生きる多種多様な動物たちの写真も撮り続けてきた宮崎氏。
動物側からの視点で考える必要性に気づかされる本でもあります。
うーむ。あまりに情報量が多い本で、なかなかうまくまとまりません(^0^;)
機会があれば、ぜひじっくりと読んでみてくださいね。
薫 20230119