こんにちは。
ずいぶんあたたかくなりましね。
関東では春一番もふきました。
なんだかムズムズしますよ。
心なしか、空気が黄色がかって見えるのは私だけでしょうか。
さて、今日は、こちらの絵本について書こうと思います。
「3びきのかわいいオオカミ」 ユージーン・トリビザス 文 ヘレン・オクセンバリー 絵 こだま ともこ 訳 冨山房
「3びきのこぶた」の話は有名です。
悪いオオカミに、色々な悪さをされるこぶた達のお話しでした。
今でも、藁や木で作った家が壊されている絵が目に浮かんできます。
こちらは逆バージョン。
悪い大ぶたに翻弄される3匹のオオカミのお話しです。
わかりやすく言ってしまえば、「3びきのこぶた」のパロディです。
あらすじをご紹介しますと・・。
あるところに、3びきのかわいいオオカミがおかあさんと一緒に暮らしていました。
ある日おかあさんは、家を出て自分たちの家を作るよう3びきに言います。
「でも、わるいおおブタには気をつけるのよ。」
まず3びきはレンガの家を建てます。
ところが、わるいおおブタがやってきて、ハンマーで家を壊してしまいます。
次に建てたコンクリートの家を電気ドリルで、
その次に建てた鋼鉄と鉄条網で建てた家をダイナマイトで壊してしまいます。
命からがら逃げ出した3びきのオオカミが次に建てたのは、なんと花の家でした!!
さて、花の家はどうなってしまうのでしょうか?
もうとにかく、このおおブタがとんでもなく悪い!!
人相をご覧いただきましょう。
名作「3匹のこぶた」のお話しを知っているからこそなのでしょう。
子ども達に大受けする絵本だそうです。
幼稚園や小学校では、劇にして楽しむところもあるのだとか。
では、おとなの私の感想は、というと・・・。
なんとも複雑な気持ちが湧いてくる絵本です。
この絵本の作家であるユージーン・トリビザスは、ギリシアでは有名な作家、詩人。
演劇やテレビの脚本も書いている方。と同時に、イギリスの大学で犯罪学を教えていて、ギリシア法務省の名誉顧問だそう。
絵本に記載されていたプロフィールにそう書いてありました。
だからなのかどうかはわかりませんが、
このお話しは、攻撃する側の心理、防衛する側の心理がけっこう生々しく描かれているように感じ、大人の私としては、笑ってばかりいられない気持ちになるのです。
そして、意外なラストへの展開は、「そういうものなのかもしれないなぁ・・」と気づかされます。
犯罪学に携わる方が書くとなんだか深いなぁ・・と思ったりします。(プロフィールに影響受けすぎですね笑)
同時に、どこかでモヤッとしてしまう私もいます。
オオカミたちの境地に果たしてなれるものなのか??
世の中には、「その後の大ぶた」のようには絶対にならないタイプも存在するのではないか?
昨今の世界の様子を見てみると、特にそんなふうに感じてしまったり・・・。
色々と考えさせられる一冊です。
機会があれば読んでみてくださいませ。
薫 20220306