令和4年決算特別委員会最終日 総括③

現在、首都直下型地震発生時には、電力、通信等のライフライン、情報インフラは大規模な機能障害が想定されており、首都地域全体でみると復旧までに電力は6日以上、通信は2週間程度を要するとされています。

 

そのような状況下、中央区は、区民の約95%を占めるマンション住民に「在宅避難」を求めています。全ての区民が逃げ込むことができる避難所を整備することは不可能だからです。

 

電力を喪失するとどうなるか?

エレベーターが止まるのはもちろん、館内放送が作動しないので避難誘導も出来ません。スプリンクラーも作動しません。避難しようにも非常階段は真っ暗で、大勢が避難すると狭い階段の内部で将棋倒しが発生する危険が指摘されています。

 

消火と避難のために消防法で一定規模以上のマンションには非常用発電機の設置が義務付けられていますが、燃料タンクの容量は厳しく制限されており、数時間しか作動させることができません。停電機関7日間どころか、発災当日にエレベーターは止まってしまいます。

 

そこで私は1つの提案をしました。

ここ数年、仲間と進めている政策の1つです。

 

日本最大のコンテナの取扱量を誇る東京港には国内外から年間3万隻以上の貨物船が来航し、給油を行なっています。

中央区の豊海にも船舶燃料タンクが浮かんでおり、船への給油を行なっています。船舶のエンジンはディーゼルエンジンであり、非常用発電機と燃料は同じ軽油かA重油。互換性があります。

 

調査したところ、この豊海の船舶用燃料タンクの量は、約450キロリットル。大型ガソリンスタンド10件分以上になります。

なぜ大量の燃料が備蓄できるのか?

海上では消防法が適用されないため量的規制がないのです。

さらに、常時使用しているため燃料の劣化もありません。

 

防災クルーズでは、毎年その現場を見ていただいています

 

震災時に、この船舶燃料を区の施設や、災害拠点病院、そして高層マンションにも分配する事を是非とも検討するよう要望しました。

 

今、この海のガソリンスタンドの後背地である豊海地区の市街地再開発事業が進んでいます。この再開発の中で、陸上のBCPと関連付けることができるのではないか。地域貢献策として海上の燃料施設を非常時には陸上で使用できるように一体的に整備するのです。

 

これは区にとっては災害時の保険であり、区民にとっては資産価値の向上でもあります。災害時マンション住民にとって一番必要なものはエレベーターを動かすための燃料なのです。