翻訳にも関係ある本。 | 湖南省で日本語教師

湖南省で日本語教師

湖南省の某所で日本語教師をやってます。専攻は中国語で、まだまだペーペーですが頑張ってます。

紀伊国屋書店のポイント制って楽しいっすね~。



そんでまあ、昨日は鎌倉に行った(このことについては別の記事で)帰りに新宿の紀伊国屋書店に行きました。一緒にいた友達とじっくり本屋の中を見て回り、そして思った。「本屋に一日いることって月に一回は必要」



都内の大型書店に行くと、フロアーごとではなく、ビルそのものが本屋になっていることが多いですね。そこには数えきれない本、本、本。そこを一日かけてじっくりと見て回れば、自分の為(僕の場合だったら、主に翻訳)になる本がきっとあるはずです。



そんで昨日、新書コーナーでこんな本を見つけました。



名作コピーに学ぶ読ませる文章の書き方 (日経ビジネス文庫)/鈴木 康之
¥700
Amazon.co.jp

いかにして文章を書くか、というテーマを、いろいろな広告のキャッチコピーをとりあげながら解説している本です。作者の鈴木康之氏は、広告のキャッチコピーを考えるコピーライターに40年以上に渡って携わっているその道の大御所であり、名人であります。



薄い文庫本であったので、4時間ほどで読み終わりました。この本の中で紹介されているキャッチコピーを翻訳してみたい、という「翻訳欲」に駆られた(近いうちにやります)のですが、それより「うんうん」とか、「あー」みたいに、思わず頷いて賛同してしまったり、驚嘆してしまったような所もありました。



なぜかというと、このコピーライターっていうお仕事、どこか翻訳と似ているんです。以下に僕が思わずチェックマークをつけてしまった部分を抜粋します。青字は僕のコメントです。



・広告という仕事は、「無からの創造」ではなく、「有の発見」


翻訳だって、最初から文があるわけですからね、それを違う言語に直してあげるんです。直してあげる、と一言で言い切りましたが、このことは容易ではありません。


僕等の仕事ってイタコに近いですよね。クライアントの話を聞いて潜んでいる気持ちをくみ取るという



潜んでいる気持ちをくみ取る。以前僕がここで紹介した、原文作者とのシンクロ」です。




・一発で百点満点の完成品に到達することなどできるわけがない、というのが正直なところです。(中略)毎日毎    

 日考えて、何度も何通りにも書き変えて、締め切り時間がきたら、もうこの時点ではこれでいいんだろうか、と    

 いう不安なまま手放しているっていうところがありますね。


過去に受験したTQE(翻訳検定)の時、僕もちょうど同じ心境でした。手放したあとも、う~んと唸りながら、原文と訳文とにらめっこ。この姿勢ってすごい大事(←自画自賛)



考えることを楽しみましょう。想像して遊びましょう。自由にしましょう。もっともっと気づいてくるし、もっともっと見   えてきますよ


語学は暗記ではありません。一種の感性です。最初のうちは、辞書の例文を暗記したりするのも、文法用例辞典を大いに参考にするといいと思います(偉そう)。現実に僕もそうしていました。でもいつからか辞書の力を借りずに、原文の前に腕を組んで、「これは一体どういうことだろうか」とその文章の様々な意図をくみ出そうとします。。これが考えることです。万能の辞書は、自分の頭の中に作り出しいかなければなりません。


翻訳し終わった文を、時々僕は何とは無しに眺めて一喜一憂しています。自分で優れた表現だったら「ふふふ」とニヤケて、これはマズイと思った訳文には真摯に向き合います。



・こんちく症。どうしま症。花粉症。


こういった言葉遊びな文章の翻訳は一体どうしたらいいんでしょうね?“可恶热。无法热。花粉热”ですか(笑)これじゃあ誰も食いつきませんよ(笑)



とまあこんな風に、広告のキャッチフレーズの翻訳なんぞの役に立つと思い、購入した本から、「キャッチコピーの制作と翻訳は似ている」という意外な収穫がありました。学ぶことが多い本です。ぜひ購入をおススメします。

この本の中で引用されているキャッチコピーの翻訳については、カミングスーンです。



ではまた~。