ウクライナで「原発とメディア」を考える- /チェルノブイリ事故から33年   | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

「原発なくそう ミツバチの会」の活動報告や事務局ノブクンの日々のつぶやきを発信しています。

以下転載します。

 

日本では「原発安全神話」がスタイルを変えて復活

 |  マスメディアは東電福島第一原発事件を

 |  徹底的に取材・報道すべき

 |  「メディア改革」連載第2回

 └──── 浅野健一(アカデミックジャーナリスト)

 

 

 「日本のマスコミは東電福島第一原発事故の真実を伝えず、放射能

汚染に苦しむ住民の問題を取り上げない」。

 チェルノブイリ原発事故から33年2カ月たった5月16日、ウクライナの

首都キエフで上映された地元のアルタTVが制作したドキュメンタリー

番組で、福島県双葉町の井戸川克隆・前町長の声が流れた。

 

 プロデューサーのオレグさんらウクライナ・ジャーナリスト・ユニ

オンのメンバー6人が訪日し、井戸川氏の案内で原発避難地域に入って

取材した。

 防護服姿の井戸川氏は、日本政府と主要メディアが原発事故の影響の

深刻さを認めず、避難住民の支援も打ち切ろうとしていると批判

していた。

 日本の記者クラブメディアが井戸川氏の声を伝えることは

ほとんどない。

 6人は広島、長崎の両市長に会えたが、福島県知事は多忙を理由に

面談に応じなかったという。

 

 私は5月14日から24日までウクライナを訪れた。ウクライナのチェル

ノブイリ事故現場に近い放射能汚染地域において、食品汚染を防いで

子どもたちの健康を守る活動をしている「食品と暮らしの安全基金」の

小若順一代表ら3人と共に訪問した。

 

 5月17日、ウクライナの首都キエフにある放射能医学研究センターで

開催された「国際チェルノブイリ連盟」(マカレンコ会長)の第6回総会

で、連盟の名称を「国際チェルノブイリ福島連盟」と変更することを

決めた。総会では小若氏を連盟の理事と選任し、副会長(4人)の一人

とした。

 

 マカレンコ会長は「チェルノブイリと福島の事故後の廃炉活動を続ける

作業員と被害者住民、特に子どもたちへの支援を国際社会に求めたい」と

訴えた。

 また、チェルノブイリから35年、福島から10年の2021年に記念行事を

主催するための準備を始めると決定した。

 

 総会の後、原発を含むエネルギーの未来に関する国際会議も開かれた。

 ブログ「浅野健一のメディア批評」に記事を書いているので参照して

ほしい。

http://blog.livedoor.jp/asano_kenichi/archives/17716626.html

 

 今回の旅では、多くのジャーナリスト、原発労働者組合役員らに

会ったが、反原発を明言する人に出会わなかった。

 「ウクライナは欧州の中で最貧国なので、既設の原発を稼働する

しかない」「安全性を高めて原発を維持すべきだ」という声が多かった。

 

 福島でも、原発事件の影響について知りたくないという人たちが

少なくない。安全を回復できたという宣伝もなされている。

 「原発安全神話」がスタイルを変えて復活している。マスメディアの

中で、原発事件について真実に迫る報道が少なくなっている。

 

 野田政権が「事故収束宣言」を発し、安倍第二次政権は五輪の開催

場所を決める際、「福島原発事故はアンダーコントロール状態にあり、

東京では被害はない」とウソをついて招致に成功した。安倍首相のウソを

調査報道するメディアはほとんどなかった。

 

 マスメディアは東電福島第一原発事件に関し徹底的に取材・報道し、

原発と人類は共生できるかを究明することなしに、ジャーナリズムを

創成することはできない。