2019年4月22日
NHK会長 上田良一様
NHK経営委員会 経営委員各位
板野裕爾氏をNHK専務理事に任命する決定の撤回を要求します。
NHKとメディアの「今」を考える会 メディアを考える市民の会・ぎふ
VAWW RAC(「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター)
NHKを考える東海の会 NHKを考える福岡の会 NHKとメディアを語ろう・ 福島 中川勉(NHK・メディアを考える京都の会事務局長)
日本ジャーナリスト会議 日本ジャーナリスト会議東海地区連絡会議
アクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)
放送を語る会
日頃会長にはNHK経営にご尽力いただいていると存じます。
さて、このたび、会長は、籾井勝人前会長時代に専務理事・放送総局長を務めた板野裕爾氏を再び専務理事に任命することを決め、先の経営委員会で同意を得られました。
この人事は、籾井会長時代のNHK報道への市民の批判にたいし無反省であることを示すものであり、政府からの独立を建て前とするNHKの在り方を損なうものです。
私たちは板野氏の専務理事就任を認めることができません。
発令前にこの人事を撤回されるよう強く要求します。
同時に、このような人事に同意された経営委員会にたいし、厳しく抗議するものです。
板野氏が放送総局長を務めた2014年4月からの2年間、極めて重要な政治の動きがありました。2014年の集団的自衛権容認の閣議決定、2015年、安保法の成立、2014年総選挙、などです。板野氏は、この間のNHKの政治報道全体に対し責任があります。
集団的自衛権閣議決定に関する報道では、磯崎陽輔首相補佐官、公明党山口那津男代表、高村正彦自民党副総裁の政府与党側の3人をスタジオ生出演させるなど、政府与党の主張や動きを長時間伝えました。その一方、批判的な議論や反対運動はほとんどとりあげないといった政府寄りの異様な報道に終始しました。
安保法国会審議報道では、「わが国への攻撃の意思のない国も攻撃できる」「核兵器の運搬も可能」「ISへの攻撃の後方支援も可能」といった法案の重要な問題点の審議を伝えず、必ず安倍首相の答弁で終わる放送で、事実上政権の宣伝に貢献しました。
14年の総選挙報道では、投票日前に予定されていたNHKスペシャル「子どもの未来を救え~貧困の連鎖を断ち切るために~」の放送が選挙後に延期されました。局内では、政権批判につながるのを恐れて延期した、という批判の声がありました。
このような一連の報道姿勢は、「NHKはアベチャンネル」という市民の批判を招き、2015年8月にはおよそ1000人の市民が放送センターを包囲し抗議の声を上げる、というNHKの歴史上前代未聞の事態も生まれています。
また、「クローズアップ現代」の国谷裕子キャスターを、現場がすべて続投を提案していたにもかかわらず降板させたのは当時の板野放送総局長でした。
局内からの情報によれば、ニュースや番組現場の組合員が所属する日放労放送系列が、2015年秋から冬にかけての交渉で当時の板野放送総局長らに申し入れをしています。
放送系列はこの交渉の中で、「理由が示されないまま放送延期になった番組が複数ある」「制作プロセスの意思決定の理由が現場十分に示されていない」「政権と距離感が近づきすぎという世間の批判がある」などと指摘し、改善を求めたと伝えられています。
以上のような事態が、板野氏が放送総局長時代に起こっています。
また、多くのメディアが、板野氏について一様に「官邸と太いパイプがある」「官邸に近い人物」「籾井会長を支えた人物」などと評しています。
こうした批判や経過を顧みることなく、板野氏の専務理事復帰を強行すれば、NHKに対する視聴者市民の不信と新たな批判を招くことは必至です。局内にも根強い批判が継続して生まれるでしょう。
理事を任命するのは会長です。この権限に基づけば、今回の人事を撤回することは不可能ではありません。勇断をもって判断されるよう要求します。
また、経営委員会も、同意の議決を見直し、再検討されるよう改めて求めます。
アベ様のNHKをみなさまのNHKに変革していく事が、この国の異常な忖度偽造ねつ造情報隠蔽政治を転換する近道だと思う。だからこそ、安倍官邸はNHKを意のままにしようと画策してきたし、しているのだ。
この2冊は今のNHKを理解する上でお勧めです。