被爆者連絡協議会の川野浩一議長(右から2人目)から要望書を受け取る安倍晋三首相=9日午後0時23分、長崎市、福岡亜純撮影
長崎では9日、核兵器禁止条約の交渉にすら参加しない政府の姿勢に「理解できない」「極めて残念」と批判が相次いだ。安倍晋三首相は「(条約に)署名、批准を行う考えはない」と記者会見で明言。被爆者と対面した際には条約に一切触れず、被爆地とのすれ違いが際だった。
「あなたはどこの国の総理ですか。私たちをあなたは見捨てるのですか」
9日午後、長崎市で被爆者代表の要望を首相らが聞く会合があった。冒頭、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会の川野浩一議長(77)は首相に要望書を渡す前に強い口調で言った。
米国の「核の傘」に依存し、条約に冷淡な首相には面と向かってただしたかった。数日前に思い立ち、9日朝に考えをメモにして会合に持参。「今こそわが国が、あなたが、世界の核兵器廃絶の先頭に立つべきです」とも呼びかけた。
長崎の被爆者5団体がまとめた要望書も「(条約採択の場に)唯一の戦争被爆国である我が国の代表の姿が見えなかったことは極めて残念です。私たち長崎の被爆者は満腔(まんこう)の怒りを込め、政府に対し強く抗議します」と記した。
会合に先立つ平和祈念式典では、田上富久・長崎市長が平和宣言で日本政府の姿勢を「被爆地は到底理解できない」と述べ、「核の傘に依存する政策の見直しを進めてほしい」と訴え、被爆者らが拍手を送った。
ところが、首相は表情を変えず、式典のあいさつでは「真に『核兵器のない世界』を実現するためには、核兵器国と非核兵器国双方の参画が必要。我が国は、双方に働きかけを行うことを通じて、国際社会を主導していく」と述べる一方で条約には触れなかった。被爆者代表との会合でも、ほぼ同じ言い方をした。
川野さんは会合の後、「(首相が)何か言うだろうと思ったが、肩すかしを食らった」と話した。長崎原爆被災者協議会の田中重光副会長(76)は、同じ言葉を繰り返す政府側の対応に「テープレコーダーを持ってきたらいい」。長崎原爆遺族会の本田魂会長(73)は「日本が米国にはっきりものを言っていかないと」と指摘した。(田部愛、久保田侑暉、岡田将平)
「朝日新聞」より転載
「長崎の11時2分はとても長い」 横浜高の4番打者
神奈川大会で本塁打を放ち、ガッツポーズをみせる増田珠君=大賀章好撮影
72年前、長崎市に原爆が投下された9日午前11時2分。横浜(神奈川)の4番打者・増田珠(しゅう)君(3年)は、兵庫県伊丹市での練習を一休みし、黙禱(もくとう)した。
「今、野球ができることに幸せを感じています」。神奈川大会で5本塁打を放った全国屈指の強打者は毎年、こうして目をつぶり、被爆者に思いをはせる。
長崎出身で、戦争や原爆の被害は「生活の中で勝手に知っていくもの」だった。祖母の久美子さん(74)は広島で被爆し、現在も体に傷痕が残る。
母校の長崎市立淵(ふち)中学校は爆心地から約1キロの距離にあり、原爆で100人以上の生徒が亡くなった。今も、焼けた壁や被害の写真が展示され、毎年8月9日には学校で黙禱を捧げた。「この日の長崎の11時2分はとても長い。1分間目を閉じて、サイレンがずっと聞こえた」と振り返る。
だが、「夢を与えるプロ野球選手」を目指して横浜に進学すると、周りは違った。ある日、チームメートに誕生日を問うと、「8月9日、野球の日だよ」。「え、長崎の原爆の日って知らないのか」と驚いた。
そう思った増田君も1年生の時はプレーに必死で、気づくと8月9日の11時2分が過ぎていた。すぐに黙禱したが、「神奈川では11時2分はあっという間に過ぎていく」と実感した。昨夏の8月9日は甲子園で迎えた。試合に臨む前の練習中、体を動かしながら目を閉じ、祈った。
被爆者も高齢化が進む今、「伝えられる人間が伝えないと」。横浜に来て、そんな意識が強まっている。だがなによりも、「今でも被爆した人がいる。そういう人に元気を与えられるよう頑張っていきたい」。故郷の思いも背負い、夢を目指す。(山下寛久)
「朝日新聞」より転載
被爆者たちの願いも、高校生スラッガーの思いも安倍晋三には届かない。
本音は日本も核武装して中国と肩を並べたいと思っているのだろうから。
戦争体験を子どもの頃から聞くことが大切だと思うけど、日本の小中校での平和教育も、どうも儚げだ。
子どもたちに戦争体験を語れる大人もドンドン少なくなっていく。
敵基地攻撃論とか勇ましいかけ声だけが高くなる。
そんな社会は嫌だなぁ。
8月9日午前11時2分、函南9条の会呼びかけの平和の鐘が丹那トンネルの真上、丹那盆地に響き渡った。この日同時刻に町内の三つのお寺で一斉に平和を願い鐘をついた。我が家は丹那盆地の法輪寺で鐘を突いた。漸く夏本番模様の猛烈な暑さの中、玄岳もすっきりと見えた。
核兵器禁止条約に背を向ける日本政府を鋭く批判する長崎市長の発言が拡散されることを願う。
下記をクリックして長崎平和宣言に賛同を。
http://nagasakipeace.jp/japanese/peace/appeal.html
終了後の交流会では伊豆・田中山の一個7,8㎏はありそうな超巨大スイカ2個を切り分けていただいた。