汚染水漏れ 「Nature(ネイチャー)」が日本政府の福島第一原発の対応を批判 | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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科学雑誌のネイチャー(Nature)が、9月3日に掲載した福島第一原発に関する論説が話題になっている。日本政府の行動の遅さと、情報公開のおそまつさを指摘する厳しい内容だ。

 

思想家の内田樹氏は、「自然科学のジャーナルが一国の政府の政策についてここまできびしい言葉を連ねるのは例外的なこと」と、同記事の内容を紹介している。

 

ネイチャーの指摘する内容はどのぐらい厳しいものなのか。

 

記事は「Nuclear error」と題され、「日本はもっと世界に助けを求めるべきだ」という副題がついている。福島第一原発事故は東京電力の手に負えないほどのものとした上で、政府が先頭に立って対応するということを決めた時期が遅すぎると非難している。

 

また、漏れた汚染水の放射線量が、最初に報道されていた状況よりも18倍も高かったことや、報道が遅れたこと、監視体制の甘さなどを挙げ、情報に精通した海外の専門家に助けを求めるべきと助言している。

 

日本が海外の力を借りるべきとする意見を出しているのは、ネイチャーだけではない。

 

ドイツ出身のエネルギーコンサルタント、マイケル・シュナイダー氏は、ハフィントン・ポストUK版の取材について、「現在の課題は、彼ら(日本政府)の現実逃避的な姿勢を崩すことだ。これは組織的な現実逃避だ。ここでは日本の持つプライドが問題になっているが、プライドが現実逃避の態度へと変わってしまうと、このような問題は本当に危険なものとなる。彼らは人々を、高まり続けるリスクにさらしている」と述べている

 

アメリカの科学者、チャールズ・ファーガソン氏も、ロシアやノルウェーには、汚染水が海洋生物にどのように影響があるかを調べる専門家がいることなどを挙げ、日本が他の国から多くの専門家を呼び込むべきだということに同意している

 

また、ロシアの国営原子力発電所操業会社ロスエネルゴアトムの第一副社長、ウラジミール・アスモロフ氏は、「原子力業界はグローバル化しており、事故が国内でとどまることはない。国際的な問題だ」と述べ、ロシアとしても支援する用意があると述べたという。

 

ネイチャーは、福島沖の海洋汚染の問題を挙げ、安倍首相が掲げる科学振興に言及して次のように述べている。

安倍首相と政権は、科学振興を推進すると述べている。世界中の研究者が、(汚染された海洋データを)調査しシェアしていくことを支援するべきではないか。チェルノブイリの事故後にはこのような機会がなかった。しかし、福島ではまだ遅くはない。

(ネイチャー「Nuclear error」より。 2013/09/03)

 
 

東京電力は、相澤善吾副社長が8月21日の記者会見において、海外を含む国内外の叡智を結集して汚染水の対応にあたると話している。一刻も早い対応が期待される。

 

http://www.huffingtonpost.jp/2013/09/07/nuclear_error_nature_n_3884364.html より転載

 

 

函南・みんなの平和展で「外から見た日本」と題して講演してもらった、海外での仕事が長く、今も年に数ヶ月はネパールなどでトレッキングをしている僕と大学が同窓だった人の話では、ドイツの地方公務員の若者達と話し合ったら「何で日本は原発依存を変えないのか」「何で日本は極右翼の政治家がトップなのか」と執拗に聞かれたと言う。

ドイツではあれだけの事故を起こしてなお、原発に固執する政治は信じられない事らしい。

また戦前への郷愁をあけすけに語る政治家が政権トップを維持し続けることも理解不能だそうだ。

 

メルケルが脱原発に舵を切ったのは、原発依存政治を続けていたら、自分の政権が持たないという現実的判断が一番大きかったとドイツの若者達は話したそうだが、そうしたリアリティは日本にはない。

何しろ再稼働を推し進める安倍内閣の支持率は下がらないどころか、どうやら土管のマリオでアップしたそうだから、この国の非知性主義も極まった感がある。

 

彼は、日本がGDPで中国に抜かれ、経済的凋落が明らかになった2010年頃から本屋の店頭に反中・嫌韓・日本凄い本が棚積みされ始めたと言う。

それは日本国民の不安感の裏返しで有り、そうした不安感に乗って、「強い日本を取り戻す」と叫ぶ安倍内閣が高い支持率を維持している要因だと思うと述べたが、確かにそうだなと僕も思う。

 

そして、この世界的権威である科学雑誌の鋭い指摘は、日本国民のおめでたさを鋭く突いた記事だということだろう。

日本の原発政策が世界の物笑いになっていると言う現実をどれだけの国民が共有出来るのか、そのことが問われているのだと思う。