安倍晋三首相は十四日、武力で他国を守る集団的自衛権に関する衆院予算委員会の集中審議で、原油の供給難などで日本経済が打撃を受ける場合、集団的自衛権を行使できるとの考えを示した。
内閣法制局の横畠(よこばたけ)裕介長官の「日本が直接攻撃を受けたのと同様な被害が発生する場合に限られる」との答弁に比べて対象を幅広く認める内容。歯止めがあいまいなため、行使の範囲が政府の判断次第で拡大する懸念が強まった。
首相は「中東のホルムズ海峡が封鎖されれば、日本経済に相当な打撃となる。武力行使にあたる機雷掃海をすることはあり得る」と答弁。一九七〇年代のオイルショックに言及し「それを上回る死活的な影響も考えられる」と強調した。
一日に閣議決定された武力行使の新たな三要件は第一項として「日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合を行使の条件とした。
横畠氏は十四日、第一項を「他国への武力攻撃でも国民にわが国が攻撃を受けたのと同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」と説明した。
自民党との協議で「国民の生命、自由、権利が根底から覆される」との文言を要件に盛り込ませた公明党の北側一雄副代表は「非常に重大な答弁だ。政府の恣意(しい)的な判断が入る余地はない」と評価した。
首相は横畠氏の答弁について「私の述べたことと基本的に変わりはない」と説明。民主党の岡田克也元代表は「経済的な打撃と、わが国への直接の武力攻撃を同列にするのは理解できない」と批判した。
「東京新聞」より転載
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「戦闘現場」に自衛隊
安倍首相「可能性ある」
衆院予算委・笠井氏批判 殺し殺される危険
衆院予算委員会で14日、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」強行後、初めてとなる集中審議が行われました。日本共産党の笠井亮議員は、「閣議決定」がこれまで自衛隊が行かないとしてきた「戦闘地域」への派兵を可能にし、“殺し殺される”海外での戦闘参加に道を開くと追及。安倍晋三首相は「そこ(=自衛隊の活動場所)が戦闘行為の現場になる可能性はある」と述べ、「戦闘現場」で自衛隊が活動する可能性を初めて認めました。(詳報)
「戦闘現場」とは「閣議決定」によれば、「現に戦闘行為を行っている現場」を意味し、銃撃など交戦が展開している地点。
首相はこれまで一貫して「かつての湾岸戦争やイラク戦争での武力行使を『目的とした』戦闘に参加するようなことはない」と繰り返してきましたが、自衛隊が「戦場」に居合わせて“巻き込まれる”可能性を事実上認めました。
笠井氏は、イラク戦争で航空自衛隊(空自)が2004年から実施した空輸活動について、「戦闘地域に行かない」との歯止めの下においても、実際は戦場に向かう武装米兵の輸送を中心とする、攻撃の危険にさらされながらの戦闘支援だったことを指摘(資料)。
自衛隊の活動場所が「戦闘現場」になる場合には「活動を休止または中断する」と「閣議決定」が明記していることをあげ、「戦闘現場に居合わせることを最初から想定したものだ」と追及しました。
首相は「戦闘が行われれば、中止・中断して引き揚げる」と答弁。笠井氏は「攻撃を受ければ応戦となり、簡単に引き揚げられるかどうかも問題だ」と強調しました。小野寺五典防衛相は「(戦闘発生で)任務ができなくなれば、状況にあわせて対応を取る。(笠井氏の指摘する)さまざまな想定は考えすぎではないか」などと問題を矮小(わいしょう)化しました。
笠井氏は、憲法9条の下で「できない」としてきた海外での武力行使を、時の政権の判断で「できる」ことに変えるのが今回の「閣議決定」であり、実際に戦争で血を流すのは若者だと主張。「『海外で戦争する国』への大転換を、一内閣の憲法解釈で強行することは断じて許されない」と「閣議決定」の撤回を求めました。
「しんぶん赤旗」より転載
際限なく拡大するんだろうね。
それが歴史の教訓だからこそ、日本国憲法は国家権力に対して憲法9条を突きつけてきたのに、この戦争大好き内閣は平然と9条を葬りさろうとしている。
そんなこと、許せるわけがないだろう。