甲状腺がん報道で見えたマスコミと国への不信    | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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「よくこの件についてテレビで報じてくれた」―こんな話題がネットで盛り上がっている。「この件」とは、福島県の18歳までの若い人たちに出ているという「甲状腺がん」についてだ。報じたのはテレビ朝日の報道ステーション。これまでマスコミがタブー視していたからか、この問題に堂々と切り込んだ検証が皆無だったため、「よくやった」と賞賛の声が上がった。

 
 一方で、批判の対象となった福島県立医科大学、そして放射線健康管理を管轄する環境省は火消しに躍起だ。福島第一原発事故から3年、真実はどこにあるのか改めて問い直されている。



「因果関係」への疑念


 
 今年3月11日という震災3年後の節目に、報道ステーションが甲状腺がん問題へ切り込んだ理由は、「福島原発事故由来の放射能と、当時18歳より若かった福島の人々に甲状腺がんが出た。この因果関係が『考えにくい』というより『分からない』ということではないかという疑念を抱いた」からだという。



 甲状腺は「ヨウ素」を栄養素とし、全身の新陳代謝を調整する「甲状腺ホルモン」を作りだす。問題は、原発事故で放出された「放射性ヨウ素」も区別なく甲状腺に取り込まれ、それが放射線を出し続けてがんの要因の1つとなり、新陳代謝が活発な子どもほど放射線の影響を受けやすくなること。以上が、番組内で説明された甲状腺がんと原発事故の関連性だ。



 従来、若い人、子どもの甲状腺がんは「100万人に1人か2人」と言われていた。ところが番組が取材した結果、「福島県では現段階で27万人が検査を受け、うち33人が甲状腺がんと分かり、摘出手術を受けていた」という。100万人換算してみると、最高で従来のおよそ122倍の発症確率ということになる。



 番組取材班は、甲状腺がん摘出手術を受けた子どもの親のうち7人に接触を試みたようだが、担当医師に「周囲にしゃべらない方がいい」とアドバイスを受けたからか、ことごとく断られたという。



 そんななか、「検査で子どもの甲状腺に5mmを超えるしこりが見つかった。甲状腺がんだった。家庭では放射能の話がタブーになった」という1人の母親が、重い口を開いた。そこで浮上したのが、福島県内で甲状腺の一時検査をできるのが、「福島県立医大」のみだという問題。甲状腺に関する診断は、同大が一括して判定する仕組みができていたようだ。



説得力欠く報道内容への反論


  こうした11日の報道に関して、福島県立医大が翌12日、反論の声明を出した。

 
 抜粋すると「県民健康管理調査は甲状腺検査を含め、福島県の委託で実施主体は県立医大だが、運営や評価については、これまでも福島県や『健康管理調査』検討委員会に報告しチェックを受けている。実施の権限が県立医大に集中しているわけではない」。「甲状腺の超音波検査は、検査者の知識、経験、技能により正確性が大きく左右される。一定以上の能力を持つ検査者が同じ手法、精度で行ない、統一した基準で継続して判定することが必要だ」。「来年度は県指定の県内医療機関でも検査できる体制を順次整えていく見通しである」。



 また、甲状腺がんと原発事故の因果関係については、「現在さまざまな研究で、チェルノブイリと比較しても福島県民の被ばく線量は低いことが分かってきた」。「現在見つかっている甲状腺がんの年齢分布や発見率に地域差が見られないことなどから、甲状腺がんは原発事故の影響によるものとは考えにくい」という見解を示している。



 放射線健康管理を管轄する環境省も同様の見解を出しており、「甲状腺検査をきっかけに甲状腺がんと診断された人について、世界保健機関(WHO)や国連科学委員会(UNSCEAR)といった国際機関や、今年2月に環境省などが開催したワークショップに参加した国内外の専門家からは『原発事故によるものとは考えにくい』とされた」としている。



 ただ、これらの反論のなかで、「実は27万人中33人いた」という事実に対する見解は何ら示されていない。この数が「少ない」もしくは「平均的」というのなら、一般人には理解不能な説明ではないだろうか。データでその根拠を示すことができないのなら、反論に説得力はない。



語られぬ真実


 
 筆者は3年前、震災から半年後の2011年9月に福島県の現地取材をしたことがある。そのとき印象的だったのが、「私たちが欲しいものは『作られた安全神話』ではなく『真実』だけ」という地元の人の言葉。当時、原発事故の影響で福島県産の農産物が汚染されたという情報が流れていたが、「マスコミはこぞって『野菜は安心』という安全神話を作ろうとしている。でも、野菜を売る側としてはとてもそんなことは言えない」と、とある道の駅で聞いた。



 今回、報道ステーションの取り組みが評価されたのは、原子力ムラによる情報統制の内情をよく取材していたからに他ならない。逆に言えば、“マスコミは原子力ムラと結託して真実を報道しない”という疑念が渦巻まいている証左でもある。さらに今回の報道で、「甲状腺がんについて、国や県が安全神話を作っている」という新たな疑念が生じた。



 原発事故と甲状腺がんの因果関係を調べることも、もちろん大事だ。しかし、実は「あれから3年経ったが、マスコミも国もいまだに真実を語っていない」という現実が招く信用失墜の方が大きな問題ではないだろうか。
<嵯峨 照雄>





「HUNTER」より転載



「笑っていれば放射能なんか恐くない」「年間100ミリシーベルト浴びても人体に影響は無い」とか言い続けた山下福島県立医大副学長はその後どうしているのか。
この男3.11以前には、こんな事を言っていたそうだ。


友人が、国立国会図書館で山下俊一の311前の
講演内容を調べてきました。
後ほど順次Tweetしますが、驚愕の内容です。


山下俊一 
 その結果(チェルノブイリの20万人子供の大規模調査)、
 事故当時0~10歳の子供に、生涯続く甲状腺の発がん
 リスクがあることを疫学的に、国際的な協調のなかで
 証明することができました。(2009年3月)


山下俊一 
 一方、日本では思春期を超えた子供の甲状腺がんを
 まれにみるぐらいです。
 その頻度は、年間100万人に1人といわれています。
 これは欧米、日本、ほぼ変わりません。


山下俊一 
 (エコー検査の結果)われわれも自分の目を疑いました。
 世界も最初は信じませんでした。
 しかし1991年以降、徐々にこの数がふえていきました。
 大人では、結節をさわるとだいたい100人に1人か2人に
 がんの可能性がありますが、子供の場合には約20%が
 がんでした(2009年3月)


山下俊一 
 (チェルノブイリの調査)
 そして放射線誘発性の甲状腺がんはすべて乳頭がん
 でした。
 これは非常に大きな事実であり、
 乳頭がんの発生メカニズムを解明できる大きな母集団
 がここにいるということになります。
 (2009年3月)


【重要】山下俊一 
 同時に、大人と異なり、小児甲状腺がんの約4割は、
 この小さい段階(超音波で甲状腺結節を見つけて、
 1センチ以下、数ミリの結節の事)でみつけても
 すでに局所のリンパ節に転移があります。
 (2009年3月)


山下俊一 
 ですから、手術の方法は
 きわめて慎重でなければなりません。

 すなわち、放射線と健康影響を考えるときに、
 広島、長崎の外部被ばくの様式と異なり、この地域
 (チェルノブイリ)の一般住民には内部被ばくの放射線
 影響があることを示唆しています。(2009年3月)

【最重要】山下俊一 
 いったん被ばくをした子供たちは生涯続く甲状腺の
 発がんリスクをもつということも明らかになりました。
 (チェルノブイリの調査結果。2009年3月) 

 RT をお願いします。


山下俊一 
 放射性ヨウ素は
 甲状腺がんの診断や治療にも使いますし、バセドウ病
 の治療に使っても、その後、甲状腺がん二次発生は
 ありません。

 大量に使う場合には、甲状腺を破壊しますから、
 その破壊された甲状腺の細胞からはがんは発生しない
 ことがわかっています。(2009年3月)


山下俊一 
 ただし、1グレイ、2グレイという線量の被ばくを子供が
 受けると、明らかに線量依存性になり、甲状腺がんの
 頻度がふえるということが疫学的に証明されています。
 (2009年3月)


山下俊一 
 現在チェルノブイリ周辺では
 約5000例の子供の甲状腺がんが手術をされましたが、
 私たちはそのうちの740例しかフォローできていません。
 (中略)

 これからもがんがおこりうるハイリスクグループの検診
 活動、早期発見と早期診断を続けて行く必要があると
 考えています(2009年3月)


山下俊一 
 私は2006年チェルノブイリ原発事故20周年にあたり、
 国連でこの健康影響の報告を一緒にまとめることが
 できました。
 その結論では、唯一、チェルノブイリの放射線被ばくの
 住民影響で因果関係が明確になっているのは
 小児甲状腺がんであるということを、世界中の科学者が
 再認識しました。


山下俊一 
 チェルノブイリの原発事故後の甲状腺がんの遺伝子
 変異の特徴が明らかにされつつあります。
 小児甲状腺がんのほとんどは、染色体が二重鎖切断
 された後、異常な修復で起る再配列がん遺伝子が原因
 だということがわかりました。(2009年3月)


山下俊一 
 長崎、広島のデータは、少なくとも、低線量率あるいは
 高線量率でも発がんのリスクがある一定の潜伏期を
 もって、そして線量依存性に、さらに言うと被ばく時の
 年齢依存性にがんリスクが高まるということが判明して
 います。(2009年3月)


山下俊一 
 主として20歳未満の人たちで、過剰な放射線を被ばく
 すると、10~100mSvの間で発がんがおこりうるという
 リスクを否定できません。(2009年3月)


以上、山下俊一の発言は日本臨床内科医会会誌
第23巻第5号 2009年3月 に記載されていました。



http://www.asyura2.com/12/genpatu27/msg/799.htmlより転載



3.11以前と以後でこんなに発言内容が違う男が主導権を握る医大を信用しろと言う方が無理だ。
子を持つ親たちの不安に真摯に向き合う姿勢がつよく求められているのに、こうした対応とは何なのだろう。