巨大地震、津波が起きる可能性のある想定震源域で原発を動かす。震災の教訓を踏まえたとは思えない。
だが、現実味を帯びる。
中部電力が、浜岡原発4号機(静岡県御前崎市)の安全審査を近く原子力規制委員会に申請する。規制委は審査に入る考えのようだ。
浜岡原発は東海地震の想定震源域にある。原発事故後、当時の菅直人首相が全面停止を要請し、中部電が受け入れた。万一を考えて大事を取ったことを忘れてならない。
中部電はその後、4号機の建屋周辺の揺れを最大約1200ガル、津波の高さを約20メートルと想定し、22メートルの防潮堤の建設や耐震工事などの安全対策を進めてきた。
再稼働への動きはその見通しがついたということなのだろう。
だが、依然不安を残す。一つは揺れの想定である。2007年の中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発は1699ガルの強い揺れを経験し、想定を大幅に引き上げた。中部電の想定で本当に大丈夫なのか。
防潮堤が強い揺れや津波に耐えられるか、それも心配だ。それ以前に、巨大な堤防で守らねばならない原発のありよう自体、尋常でない。
安全基準を満たすかどうかではない。大地震が予想される場所で動かすことが許されるか。その是非こそ規制委は議論すべきだ。
東海沖から九州沖にかけて広範囲に延びる南海トラフは、東海、東南海、南海の三つの震源域が想定されている。過去には地震が同時、あるいは連動して起きることで巨大地震につながった。
記録に残る最古の地震から1300年余りの間に、マグニチュード(M)8級の地震が10回以上発生している。政府の地震調査委員会が昨年示した30年以内の発生確率は、東海地震が最も切迫している。
そんな場所で原発を動かそうというのはむちゃではないか。再稼働の判断は最終的に電力会社が立地自治体の同意を得て決める。静岡県の川勝平太知事は慎重な姿勢を示しており、今後の対応を注視したい。
規制委の田中俊一委員長はかねがね「安全審査が経営に左右されることはない」と話している。当然だ。
列島のほぼ中心に位置する原発で事が起きれば影響は広範囲に及び、被害は計り知れない。国の危機管理が問われることを肝に銘じたい。
「神戸新聞」社説より転載
まったくその通りですね。
静岡県内では反原発団体が集まって、抗議行動も計画されている。
安全審査申請に抗議する(声明文案)
中部電力の原子力規制委員会への安全審査申請に抗議する。これは4号機再稼働に向けてのステップに他ならない。
福島第一原発事故の原因が未だに特定されず、メルトダウンした燃料はどこにあるかも分かっていない。高濃度の放射性物質に汚染された大量の水はたまるばかりである。汚染水の漏洩が続き、地下から海に漏れ続けている。
故郷・家・職場・仕事を奪われた人々の苦難は今も続き、元の生活に戻れるメドは全く立っていない。
このような状況下で、ただ営利のための再稼働を前提にした安全審査申請は、到底認められない。
浜岡原発は想定東海大地震の震源の真上にあり、東南海地震と連動した場合、最大地震規模はM9,6とされている。福島第一原発と同形(沸騰水型軽水炉)の原発諸施設は到底耐えられず、福島を上回る大惨事が心配される。
県や自治体の原発災害防災計画は、いまだ避難地(収容先)や避難経路、輸送手段の確保などが策定されておらず、原発31キロ圏(UPZ)の私達住民が安心して避難できる体制が全く確立されてはいない。
また原発依存度が低い中電は、原発なしでも十分電気を供給できることが、証明されている。企業も住民も何ら困っておらず、世論調査でも多くの県民は再稼働には否定的である。
以上の理由から、私達は今回の貴社による住民無視の安全審査申請に断固抗議する。
2014年2月14日
UPZ市民交流会(なくそう浜岡原発・命とふるさとを守る藤枝市民の会、浜岡原発はいらない島田の会、浜岡原発はいらない・命を守る菊川市民の会、浜岡原発を考える袋井の会、明るい未来を磐田、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、)