名護市の民意は「移設反対」 市長選で現職勝利 ― 安倍政権に打撃 卑劣な金には屈しない | 函南発「原発なくそう ミツバチの会」 ノブクンのつぶやき

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 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関する是非を最大の争点にした名護市長選挙が終わった。

 


 争点が明確であったがために、移設反対を訴えた現職・稲嶺進氏(68)の勝利は、名護市民が移設に反対であることを明確に意思表示した形。沖縄県の民意を凝縮した選挙結果とも言えよう。

 
 安倍政権が地元の民意を無視して移設を強行すれば、不測の事態が起きる可能性もある。どう言い繕っても、政府・自民の負け。その衝撃は計り知れない。
(写真は、辺野古海岸にある看板)



大差で移設反対派勝利


  19日、全国注視の名護市長選の投開票が行われ、現職・稲嶺進氏の当選が決まった。開票結果は以下の通り。



・稲嶺  進(68)19,839  無・新(社民、共産、生活、沖縄社大推薦)


・末松文信(65)15,684  無・現(自民推薦)


当日有権者数:4万6,582人(名護市選管発表)
投票率:76.71%



現職優位動かず


 報道各社による情勢調査の結果は、告示前から選挙期間中にかけて稲嶺氏優勢で推移した。普天間飛行場の辺野古移設を推進する自民陣営は、告示直前になって候補者一本化を実現。地域振興の重要性を訴え、終盤には、石破茂幹事長や山本一太沖縄・北方担当相が名護市入りしテコ入れを図ったが、劣勢を跳ね返すことはできなかった。



 平成22年の名護市長選挙で初当選した時の稲嶺氏の得票は1万7,950票。当時の現職・島袋吉和氏は1万6,362票で、1,588票差。今回、稲嶺氏は2,000票近く票を伸ばし、移設推進派に4,000票以上の差をつけたことになる。



 名護市で、辺野古移設の是非が問われたのは過去5回。平成9年に移設を容認するか否かの住民投票が実施され、反対派が勝利。その後3回の市長選では移設推進派が当選し、民意がねじれる形となっていたが、前回市長選につづき移設反対派が勝利をおさめたことで、「移設反対」が同市でのコンセンサスを得たとみなすべきだろう。



勝敗決した知事の「埋め立て承認」

辺野古海岸
 稲嶺陣営の勝因は、昨年末に仲井真弘多沖縄県知事が、政府が出した辺野古沿岸部の埋め立て申請を「承認」したことに対する市民の強い怒り。


政府が提示した沖縄振興策に、知事が「驚くべき立派な内容」と言ったことが、県民感情を著しく傷つけたことも見逃せまい。

「県外移設」を公約に掲げた知事が、事実上県内移設を認める判断をし、公約違反ではないと強弁したことも、有権者の反発を買った。


沖縄県議会は、名護市長選の告示を2日後に控えた10日、知事の埋め立て承認を「公約違反」だとして辞職要求の決議を賛成多数で可決していた。見方によっては、仲井真知事の言動が、移設反対派の現職を勝たせた格好だ。
(写真は辺野古海岸。フェンスの向こう側、米軍キャンプ・シュワブの沿岸部が埋め立て予定海面)



自民側の選挙手法に問題あり


 自民陣営の選挙のあり方には疑問が残った。候補者の主張をできる限り多くの有権者に知らせることが選挙の基本だというのに、報道各社の個別取材を拒否し、記者クラブの幹事社にのみ、都合のいい情報を流すという姿勢を通した。記者を入れない選挙事務所など見たことも聞いたこともなかったが、この隠蔽姿勢を容認した自民側候補者は、すでに行政のトップに立つ資格を失っていたといえよう。



着工阻止狙う稲嶺市政


  政府側は、名護市長選の結果と基地移設は結びつかないと強弁しているが、民意を無視して工事を進めれば、自治の基本原則を崩すことにつながる。


国が決めたことが何でもまかり通るなら、選挙で首長や地方議員を選ぶ必要などない。民主主義国家である以上、特定地域での施策実現には、地元住民の同意が必要であることは言うまでもあるまい。安部政権が地方の民意を踏みにじるような強行姿勢をみせた場合、今度は沖縄県民だけでなく、多くの国民が政府・自民党の敵に回ることになる。



 仮に安倍政権が辺野古への普天間移設を強行したとする。その場合、名護市は、有する複数の権限を駆使して、工事ストップに全力を尽くすとみられる。例えば、飛行場建設工事の作業場確保のため、辺野古漁港を利用するしかなくなるが、漁港の管理権は名護市にある。使用許可が出なければ、工事は始まらない。また、消防法が定めた燃料タンクの設置許可も市長権限だ。そのほか、工事用の大型車両を通行させるための道路使用許可や、水道敷設にも市長の同意が必要。市の協力がなければ、ことは進まない。


政府側は、各種申請に瑕疵がなければ名護市の抵抗は無効だと強弁しているが、工期が遅れるのは確実。選挙結果が、米国との約束に基き移設を急ぐ安倍政権への強烈な打撃となるのは必至だ。


揺れる沖縄県政

  政権を揺るがす選挙結果は、地元の沖縄県政にも重大な影響を及ぼしそうだ。すでに沖縄県議会は公約違反の仲井真知事に辞職勧告決議を突きつけており、予算を含めて、県政が停滞する可能性が高い。


普天間の県内移設に反対する勢力は、今回の名護市長選の結果を受けて、全力で知事の辞任を求める行動に移るとみられており、すでに辞職勧告より重い「不信任案」の提出が視野に入る状況となっている。




「HUNTER」より転載



関連記事を。



稲嶺氏再選 誇り高い歴史的審判 
日米は辺野古を断念せよ



米軍普天間飛行場の移設問題が最大の争点となった名護市長選で、辺野古移設阻止を主張した現職の稲嶺進氏が、移設推進を掲げた前県議の末松文信氏に大勝し、再選を果たした。


 選挙結果は、辺野古移設を拒む明快な市民の審判だ。地域の未来は自分たちで決めるという「自己決定権」を示した歴史的意思表明としても、重く受け止めたい。

 
 日米両政府は名護市の民主主義と自己決定権を尊重し、辺野古移設を断念すべきだ。普天間の危険性除去策も、県民が求める普天間飛行場の閉鎖・撤去、県外・国外移設こそ早道だと認識すべきだ。


知事不信任



 名護の平和と発展、子や孫の未来、持続可能な環境・経済の在り方を見据え、誇りを持って投票した市民に心から敬意を表したい。

 
 稲嶺氏は一貫して「自然と未来の子どもを守るためにも、辺野古に新しい基地は造らせない」と訴えてきた。市民はその決意を信じ、市の発展と、自らや子孫の将来を託したと言っていいだろう。

 
 選挙結果はまた、昨年末に普天間県外移設の公約を反故(ほご)にし、政府の辺野古埋め立て申請を承認した仲井真弘多知事に対する名護市民の痛烈な不信任と見るべきだ。

 
 知事は選挙結果を真摯(しんし)に受け止め、埋め立て承認を撤回すべきだ。沖縄を分断する安倍政権の植民地的政策に追従するのではなく、民意を背景に県内移設断念をこそ強く迫ってもらいたい。

 
 知事は、辺野古移設への執着は県民への裏切りであり、辞職を免れないと認めるべきだ。県外移設公約を撤回し、民意に背いた県関係の自民党国会議員、自民党県連、市町村長もしかりである。

 
 1996年の普天間返還合意以来、移設問題に翻弄(ほんろう)され苦痛を強いられてきた市民が、自らの意思で日米両政府による犠牲の強要をはね返した。これは子々孫々の代まで誇れる画期的な出来事だ。

 
 選挙戦で自民党側は、移設問題は今選挙で「決着」と訴えていた。ならばその通り、辺野古断念で決着すべきだ。

 
 今後は4万7千市民が心を一つに、豊かな自然と文化を誇る山紫水明の里・やんばるの発展に尽くしてほしい。

 
 狭い沖縄で新基地建設が強行されれば、どこであれ過重負担や人権侵害が生じ、生命・財産の脅威が深刻化、固定化することは火を見るより明らかだ。人の痛みをわが事のように受け止め「肝苦(ちむぐ)りさ」と表現する県民にとって、基地のたらい回しは耐えがたい。


民主主義の適用



  普天間飛行場は、米海兵隊輸送機オスプレイ24機が常駐配備され、住民の過重負担がより深刻化している。断じて容認できない。

 
 知事の埋め立て承認直後に琉球新報などが実施した県民世論調査では、県外・国外移設と無条件閉鎖・撤去を合わせて73・5%を占めた。普天間代替基地は認められない。これが沖縄の民意だ。

 
 本土住民も人ごとのように傍観するのではなく、普天間の閉鎖・撤去に強力な力添えをしてほしい。

 
 かつては辺野古移設を支持していた複数の米国の外交・安保専門家が見解を変え、「プランB(代替案)」の検討を提案している。

 
 ノーベル賞受賞者を含む欧米知識人も辺野古移設に反対している。世界の良識が県民を支持している。

 
 日米は環境の変化を直視すべきだ。沖縄返還という歴史的事業を外交交渉でやり遂げた両国が480ヘクタールの普天間飛行場一つの閉鎖・撤去を決断できないはずはない。

 
 県民は国政選挙や知事選、県議選、市町村長選など民主的手続きを駆使し辺野古移設拒否を表明してきた。世論調査で辺野古移設が過半数を占めたことは一度もない。

 
 安倍晋三首相とオバマ大統領は、諸外国に向かって「自由と民主主義、基本的人権の尊重、法の支配という普遍的価値を共有する」と言う前に、沖縄にも民主主義を適用してもらいたい。民意の支持なき辺野古移設は実現不可能だ。県内移設を断念するときだ。



「琉球新報」社説より転載



カネと恫喝に屈しなかった名護市民に敬意を表したい。
安倍政権の暴走に明確なNO!を突きつけた結果だ。
良かったね。