桐島聡容疑者の死について | パドックに魅せられて

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映画監督の森達也さんの、「桐島聡を単なるテロリスト」だと見てはいけない、と いうコメントを、信濃毎日新聞が報道している。「彼の行動は許されないが、大義があった」と森さんは言う。当時のアメリカのベトナム戦争、それに協力する日本政府に対する反対行動だったことを、企業爆破の背景に見るべきだと。果たしてそうなんだろうか 。

当時私もベトナム戦争反対のデモ行進に参加していた。ただ、「連合赤軍」や「反日武装戦線」には共感できなかった。私はデモでヘルメットをかぶったことは一回もない。あくまでも非暴力で政治的行動をすることが、私の主義だった。当時のことを思い出して、私が言いたいのは、いわゆる暴力で社会を変えようとして行動していた人たちの動悸は、単純なものだったのではないかということ。それは「自分たちが左翼運動の中で 上にいるんだ、俺の方が上なんだ」という意識である。今の言葉で言えば「マウントを取りたい」というものではなかったのか、ということだ。

その意識が「企業爆破」まで行ってしまった。「彼にも大義があった」とみるまえに、「彼らには上位者になりたい意識があった」と見るべきではないだろうか。私はそう思う。