松本清張「ゼロの焦点」 | パドックに魅せられて

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松本清張には興味がなかった。売れっ子の推理小説作家としか思っていなかった。読みもしないで。だがNHKの「新日本風土記」で松本清張をやっていてそれを見た。俄然読みたくなった。我が本棚を探す。わずかに文庫本が一冊あった。

病院の清掃をしているときに、捨て出された本を何冊か持って帰った。その中の一冊だった。読んでみる。夏目漱石ほどの文章とは思わなかったが、物語の展開がすごい。この人は売れっ子作家ではなく、文学者だったんだと、ご本人には甚だ失礼ながら、再認識した。
TSUTAYAで松本清張原作の映画DVDを借りてきた。圧倒的だったのが「ゼロの焦点」。日本アカデミーを総なめしたらしい。そんなこと知らなかった。広末涼子の代表作だったんですね。二時間を超える大作だが、ぐいぐい引き込まれる。一度見てよくわからなかったので、続けてもう一度見た。4時間超え。暇人か。だけど面白かった。殺人犯人がわかっていても面白かった。
松本清張は単なる事件だけではなく、社会を書いている。ということはその社会があった歴史を書いている。その時代を生きた人間を書いている。
松本清張、恐ろしい。夏目漱石を何度も読み返したいが、ちょっと松本清張にはまりそうだ。