"管理職の残業代"、部長の95%が支給されず-- 課長クラスでも88.5%が不支給
労務行政研究所はこのほど、「労働時間・休日・休暇等に関する
実態調査」の結果から、管理職に対する残業代および
深夜割増賃金についてまとめたものを発表した。
同調査は、5月24日~7月17日の期間に行われ、全国の企業
233社から有効回答を得た。
労働基準法では、「管理監督者(いわゆる管理職)」は労働時間の
適用の対象外となっており、通常、残業代が支給されない場合が
多い。しかし、管理監督者の要件を満たしているかどうかは、
その職務や権限などの実質から判断されるため、
「『管理職だからというだけで残業代は不要』ということには
ならない」(労務行政研究所)。
一方、午後10時~翌日午前5時の「深夜労働」は同法の適用対象
となるため、管理監督者であってもその時間帯に労働した場合には
割増賃金を支給する必要があるが、この点を認識していない企業が
少なくないという。そこで、今回の調査では管理職の残業代および
深夜割増賃金の実態を探った。
まず、各社における管理職(部長・課長・課長代理・係長・主任の
各役職位)の有無を尋ね、その役職位がある企業について、
それぞれに対する残業代支給の有無を尋ねたところ、
「支給」と回答した割合は、部長クラスでは0.9%、課長クラスでは3.7%と
少なかったのに対し、課長代理クラスでは4割近くの38.5%に増加、
さらに係長クラスでは89.0%、主任クラスでは94.6%と大半を占める
結果となった。
一方、「不支給」の割合は、係長クラスでは6.2%、主任クラスでは3.4%
だったのに対し、部長クラスでは95.1%、課長クラスでは88.5%、
課長代理クラスでは51.0%と半数から9割以上を占めた。
次に、管理職の深夜労働に対する割増賃金の支給状態を聞いて
みると、「割増賃金を支給している」と回答した企業は68.4%。
それに対して、「支給していない」企業は20.4%、「割増賃金でなく、
定額の手当てを支給する」企業は8.9%だった。
規模別に見た場合、「割増賃金を支給している」割合は、
1,000人以上の企業では69.5%、300~999人では76.1%、
300人未満では56.6%。
一方、「支給していない」割合は、1,000人以上では18.1%、
300人~999人では14.9%、300人未満では32.1%となった。
割増賃金を支給している場合の割増率の設定状況については、
「法定どおり(25%)」が72.5%、「法定を上回る率」が27.5%。
「法定を上回る率」と答えた企業を規模別に見ると、
1,000人以上では36.1%、300人~999人では27.5%、
300人未満では6.7%となった。
(マイナビニュース)