僕はアニメの構造的な問題を門外漢の人に説明する時、「造花を作っているようなものです」と例えるようにしている。

それを 「造花理論」 と名付けた。

 

例えばだが、内職で造花を作っている主婦?娘?がいたとする。

一本1円だとしよう。それを一日MAXで100本こさえるのが精一杯。

一日100円の儲け。一か月で3000円の儲け。

 

そこにいきなり発注主が「喜べ!10000本の造花を発注するよ!」

 

さて、これで喜べるだろうか?

儲けが増えるだろうか?

 

答えは明白。一日MAX100本のキャパシティが、いきなり一日1000本に増える訳がない。

受注本数が増えたところでお手上げなのだ。

 

結局彼女が作れるのは月3000本のまま。儲けも3000円のまま。当たり前である。

 

単価が上がらない限り、受注量が増えても意味がないのだ。

 

 

これが、ひと頃言われ続けた「アニメはこんなに本数が増えているのに、アニメーターはどうして儲からないの?」のカラクリ。

2016年12月、岡田斗司夫さんとニコ生で対談した時にその一部を言った通りである。

 

 

製作委員会は一作あたりの単価を増やさない。代わりに本数を増やす。

しかしそれを現場が、アニメーターがどうしてもこなし切れない。

 

「X」にも書いたが、それを受注する(だけの)制作会社が増えては消えているらしい。

これも理屈は簡単だろう。作品が受けられても、人手不足で作り切れないのだ。

それでもプロデューサー、制作会社社長は途轍もなく意味不明な自信があるのだろう、スタジオを作っては、潰す。

この連続。我儘気儘の連鎖にしか見えない。単純にアホだ。

 

これ本当にある制作会社の制作君から聞いたが、中堅どころの会社がバタバタと消えているらしい。

全ては製作委員会と、制作会社の読みの甘さからだ。

 

 

これを読んでいるアニメ業界人どもよ。くれぐれも警告しておく。

制作本数をこれ以上増やすな。制作会社も増やすな。

そして単価を上げろ。それを在野のアニメーターに渡せ。

これで人手不足も含めて何もかもが解消する。

 

 

アニメが生き延びる戦略は、これしかない。

まだこの業界は学んでいない。