この音源がまた上がっていた。

ヤマハさん、著作権を主張するなとは言いませんが、この音源だけは消さないで残しておいてほしい。

 

これは全時代の全人類に響く歌唱だから。

 

 

本当かどうか解らないが、淀川工業高校のグリークラブがこの歌を披露しようと、中島みゆきに思い切ってアドバイスを求めたら、中島からは、

「できる限り情けなく歌ってください」

という返答がきたという。

 

別のライブ動画では中島みゆきの歌唱姿が映っているのだが、その佇まいがもう狂気。絶えず笑いながら歌っているのだ。

僕はこの動画を見る度戦慄を覚える。まるで悪魔が歌っているようだからだ。

 

中島みゆきの曲は、一聴すると人々への応援や励まし、癒しを感じるものが多いように思える。

しかし、そこに彼女の声が乗ると、様相が一変するのだ。

まるでそれは、例えるなら「最後の審判」の時全人類を裁くイエスのようである。

 

人間とはいかに弱く、脆く、愚かなものか。

それでも生きていたい、生きていくしかない。

中島みゆきは、そんな人間の宿痾のようなものを抉り続けるアーティストであると思う。

 

僕たちは彼女の歌に励まされているのではない。むしろ突き放され、自分自身の今の現実と否応なく向き合ってしまうから、涙するのだ。

 

 

先に挙げた動画の「あなたの夢が、叶いますように」という言葉も、両面の意味を持つと思う。

「世界はそんなものを保証してはいないんだよ」という意味だ。

 

 

中島みゆきに関しては既にいろんな評論・評価があるはずだが、僕はこの残酷さこそが彼女の魅力だと思う。

 

「ファイト!」はそんな彼女の魅力が凝縮された傑作だ。