かの映画評論家・蓮實重彦氏は、映画の中でどうしても褒めるところが見つからない時、
「撮影がいいですね」
と、言うことにしているという。
同じことがアニメにも言えて、中身のない作品を褒める時、
「作画がいい」
と言う訳で、これ、決して褒めてない。
監督としてはちょっとイラっとするものだ。
前作『薄暮』でも、「絵がきれい」「作画がいい」という感想には、顔には出さずとも内心気持ちのいいものではなかった。
今日いい例えを思いついたのだが、それは漫才を観て、漫才師に対し「お二人、イケメンですねぇ」と褒めているようなものだ。
ネタの話、中身の話じゃないし、その言葉から満足や感動のニュアンスは決して受け止められない。
は?顔!?と思うだけだ。
で、とうとうアニメを褒める際の常套句に「作画がいい」というのがすっかり定着してしまった。
アニメの衰退はこんなところからも見て取れる。