度々引用して恐縮だが、岡田斗司夫氏との対談だったか、で岡田さんが、
「庵野や山賀から聞いたんだけどさ、監督って周りが有能だったら何もしなくていいんだって。周りが無能なほど仕事が増える職業だって」
と、言うのを聞いて、本当そう思った。
僕は面倒くさがり屋の三日坊主だ。幼少期からそろばん教室だってソフトボール教室だって、高校の吹奏楽部だって何だってサボった。
とにかく楽したい。
監督業をしてからも、できるだけ楽していたい。
現場行ってキリキリ胃を痛めるくらいなら、家で酒飲んでいたい。
それを身体に鞭打ってどうして現場に行くか?
商売だからだ。
責任があるからだ。
いいものを作らないと、次の仕事が来ない。
僕は業界入って間もない頃、本当に師匠にそれをやられ、鍛えられた。
三つ子の魂百までじゃないけれど、あの時の恐怖は今も残っている。
だから、いい加減な仕事ができない。
「僕はアニメを作ってる時が一番幸せ!」とか連呼しながら一日の半分は電話ばかりしているかの大天才とは違い、僕は恐怖心から、机に向かう。
できれば向かいたくない。
しかし、このままではえらい出来になる!と思うと、強迫観念から机に向かう。
「楽しい!」なんて思ったことはない。
とにかく、恐怖から逃れたいのだ。
かつて、黒澤明はこう言った。
「冗談じゃない、一番映画を早く完成させたいと願ってるのは監督だよ!」
監督の気持ちは監督にしか解らないのだろう。
それはまぁ、やむなし。
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