さて、今年もやっぱり訪れた、一年一度のフルトヴェングラーブーム。

今回はベスト5を敢えて選んでみよう。

すべてパブリックドメインのはずなので堂々とYouTubeで聴ける!はず……。

ご利用は自己責任で……。

 

 

①ベートーヴェン交響曲第5番:1947年5月27日 ベルリン・フィル

 

 

結論から言うと全部ベートーヴェン。

フルトヴェングラーを通して聴くとベートーヴェンの真の偉大さが解る。他の作曲家はどうしても物足りないのだ。

その中でのベストと言えば、やはり「歴史的復帰」を遂げた1947年の「運命」を挙げるしかない。

 

ナチス統治下のドイツに敢えて残り、ナチスと絶えず睨み合いながらも祖国への愛情を忘れず、しかし命を狙われ亡命、国外からドイツの破滅を絶望感と共に見つめ、戦後帰国したら今度は連合軍から親ナチスの嫌疑をかけられ……と、フルトヴェングラーの心はもう相当擦り減っていたことだろう。

だから復帰してから僅か7年で他界してしまう。

さぞ辛かったろう。

 

この演奏会は5月25日と27日の録音が残っており、実は25日がまさに「復帰初日」であり、そちらの方がもうオケも指揮者も血相変えて凄まじい音を出しているのだが、緊張感がありすぎて傷が多い。

一般的に聴いた方がいいのは27日の方だろう。

 

因みに僕が初めて聴いたフルトヴェングラーだ。

それまでは何となくカッコいいな、程度に思っていたクラシック音楽に、魂を撃ち抜かれた瞬間だった。

クラシックこそ最もロックでソウルフルな音楽だと今も感じる。

 
とにかく「運命」は、この演奏以外あり得ない。
 

 

②ベートーヴェン交響曲第3番:1944年12月 ウィーン・フィル


 

僕は「英雄」がイマイチ解らなかった。変な音楽だな、冒頭和音だけだし、なんか三拍子だし、と思っていた。

最初カラヤン盤を聴いたがチンプンカンプン、その後トスカニーニ盤がいいと聞いてCDを買ったが、さっぱり。

そしてこの「ウラニアのエロイカ」と出会う。

 

最初の和音二つがまったく違った。

もう大爆発、大噴火、ビッグバン。

宇宙がひっくり返る音だったのだ。

なるほど、これが「英雄」か!

この音楽に初めて「革命」を感じた。

これで僕のフルトヴェングラーに対する信頼は確固たるものとなった。

 

しかしこの録音、戦中の録音なので何度も何度もリマスターされていて、その都度音割れを気にしてか頭を叩いて逆にスケールがショボくなる盤が多いのだが、この音源は最高。音割れなんか気にするな!

 

 

③ベートーヴェン『レオノーレ』序曲第3番:1944年6月 ウィーン・フィル

 

 

これも戦中、戦局が悪化したドイツの危機感が聞こえてくる。

しかし凄い音だ。

コーダの異常なスピードとそれをものともしないオケの迫力はやはりのけぞるほどだ。

一方でフルートのソロが実に凛々しく、可憐だ。

 

これも「ウラニアのエロイカ」同様に、音源を選ばないとえらいことになる。

 

 

④ベートーヴェン交響曲第3番:1952年12月 ベルリン・フィル


 

最近僕が「発見」した素晴らしい録音。

疑似ステレオに加工したものだが、これは先のウィーン盤とまったく引けを取らない。

フルトヴェングラーの録音は状態がいいものが実に少ないので、これはありがたい。

 

 

⑤ベートーヴェン交響曲第9番:1951年7月 バイロイト祝祭管

 

 

『第九』と言えば絶対これ!というくらいの名盤だが、これも録音があまりよろしくない。

弦に比べて管と合唱が遠く、どうもバランスが悪いのだ。

しかしそんなハンデをあっさり乗り越えてくるのがフルトヴェングラーの凄さ。

やっぱりこれだ!としか言いようがない。

 

 

 

 

 

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