ちょっと落ち着こうか。

ちょうど公開された、『じゃりン子チエ』の話でも。

 

関西人は『じゃりン子チエ』が必須科目だった。

日曜の昼だったように思う、とにかく再放送を繰り返すのだ。

ああ、終わったかと思ったら、また第一話から。

誰もが絶対観る。しかも繰り返し。

 

しかし、飽きなかった。

今はさすがにやってへんやろなぁ。

 

関西人が「これがウチんとこのアニメ!」と胸を張って言えたアニメだった。

もちろん監督は高畑勲。

 

今や日本アニメーションの「父」、美術・芸術界の巨匠としても引っ張りだこの彼が、こんなアニメを作っていたと、誰が想像するだろうか?

大阪の下町、ヤクザたちが闊歩し喧嘩や賭博が当たり前の中で、それをものともせず粗っぽく生きる父と娘の物語だ。

 

しかもさすがにこれはTVシリーズ、そして長期だ。

彼の作品としては傷も多い。しかも彼自ら演出している話数も、そこまで出来は良くはない。

制作状況の不十分さを感じる。

 

しかし、そこに流れる浪花の人情が実に素晴らしい。

高畑は関西とはいい難い、三重の出身だが、大阪のドヤ街を調べ尽くし、見事に表現した。

実は意外と時事ネタやパロディが多かった高畑アニメだが、そういう俗っぽさもまた、彼の真骨頂だったのかも知れない。

山田洋次に通じるところなのだろうか。

 

ただ「高畑は『じゃりン子チエ』まで!それ以降はクソ!」とかいう安直すぎる意見にはウンザリだけどね。