(2018/12/28 07:43 エントリー )

 

 

『薄暮』という透き通ったピュアさと同時並行で、凶悪犯罪者を調べる。
バランスとしてはちょうどいいのだろう。どちらも、結局人間だ。

 

宅間守という存在の大きさに、調べれば調べる程圧倒されていく。
そこに麻原彰晃が加わって、霧が晴れたかのような見通しが生まれつつある。

 

特に宅間は、あの事件が自分の母校であった、という事実以上に、何かしらの因縁を感じ続けていた。
やっと解った。時は来た。


 

もう一度確認しておくが、オタクという「病」は、

「俺はこんなに世界を憎んでいるのに、どうして世界は俺を愛してくれないんだ!」

あるいは、
「俺はお前をずっと攻撃しているのに、どうしてお前は俺に服従しないんだ!」
という、なんとも倒錯的だとしか言いようのない心理状態のことだ。

 

さすがにこの心理はピンと来ない人も多いかも知れない。
そこでひとつのキーワードを出そう。
「支配欲」だ。

 

そして「愛情」と「支配欲」は表裏一体、コインの表裏の関係だと言える。

 

ここまで来てもピンと来ない人には、男女関係を思い浮かべると解りやすいだろう。
男女かかわらず、「愛情」がやがて「独占欲」「支配欲」に移行する様は簡単に想像できる。


 

そんな倒錯的な「愛情」=「支配欲」を、なんと世界すべてのものに向けてしまう人々がいる。
それが、オタクだ。

 

なぜそうなったか?
「愛」を知らないからだ。

 

宅間は生涯五人の妻(うち一人は獄中結婚)を持っているが、レイプ同然で強引に詰め寄り、暴力も当たり前だった。
彼にとって「愛」は「支配」でしかなかった。

 

そんな彼が、ある日三人目の妻に、泣きじゃくらんばかりの勢いで「とにかくしんどいんや」と言い出した。
「何がしんどいの?」と訊くと、
「猜疑心」と答えた。

 

「愛」の向け方も受け方も知らない彼の心の中を占めていたのは、「猜疑心」。
世界万物すべてが敵に見えたのだろう。
事実、彼は通りすがる人に手あたり次第「お前俺の悪口言うたやろ!」「お前今俺にガン飛ばしたやろ!」と、まったく意味もなく怒鳴りつけ、攻撃した。
気味が悪くなって妻たちが離婚を要求したり逃げたりすると、彼女らだけではなく親類縁者、勤め先に至るまで家に石を投げる、苦情の電話を入れるなど、意味不明の攻撃を執拗に続けたという。
彼は「愛」を示すことができない、心を許すことができない「世界」にひたすら敵対し、攻撃し、それを「支配」しようとしていたのだ。


 

オタクの心理状態は、まさにこの「己の猜疑心への恐怖」から来る「衝動的に近い無闇矢鱈な支配欲」だと考える。
そう考えると、僕が長年抱えていた疑問が次々と晴れていった。

 

かなり昔から語っている、後輩Nのことも、これでようやく腑に落ちた。
僕は何度も「やめてくれ、もう話をしたくない!」と拒んだが、彼は、
「どうしても議論がしたい!議論をしましょう!」
と、懇願までしてきた。
最後は一日十回も携帯にかけてきていた。

 

本当薄気味悪かったものだが、今なら解る。
「己の猜疑心への恐怖」から来る「衝動的に近い無闇矢鱈な支配欲」、これが彼にも当てはまるのだ。
僕を支配しなければ、恐怖で身がもたなかったのだろう。

 

同様に僕と面識もなく、何ら接点のないアンチがヤマカンガーヤマカンガーとうるさいのも、これで説明が付く。
彼らは常に何かを「支配」しないと、世界が恐ろしくて、自分が保てないのだ。

 

そして話は「支配」に戻るのだが、この「病」は、実は先天的なもの(発達障害など)ではなくて、確実に後天的なものだということだ。
幼少期、親に「愛」を教えてもらえなかったための、精神の歪曲だ。
今まで煽りも込めて「先天的な病」だと言っていたが、ここで訂正しよう。

 

お前らは先天的な病ではない。
だから障害者でもない。

 

実は「障害すらも抱えてない、ただのクズ」なのだ。


 

宅間守を長時間精神鑑定した医師も、宮﨑勤を粘り強く取り調べした刑事も、そして麻原彰晃・オウムと戦ったよしりん先生も、口を揃えてこう言った。
「彼らは、精神疾患ではない。ただのクズ人間だ」

 

宅間守との「因縁」を感じたのも、宅間は精神異常者ではない、僕と同じ、地続きの人間だ、と直感したことにある。
だから、僕もひょっとして、ほんのちょっとのタイミングのずれで、宅間になっていたかも知れない。
それを思うたび震える程恐怖するし、しかしながら何とか家族や友人達の「愛」のお蔭で、首の皮一枚繋がったことに、感謝したい。


 

内省の意味も込めて、もう一度訂正しつつ断言しよう。
お前らは障害や精神異常で逃げられることができない、ただの普通の人間だ。

 

お前らは障害者でも精神異常者でもない。
ただの、クズだ。
だからこそ凶悪に、世界に牙を剥くのだ。

 

何の才能も、何の個性もない、世界に接点を見出だせない、自分の存在感の絶望的な無さに、「愛」の知らなさに、もがき苦しんで生きていくしかないのだ。
さぞ苦しかろう。でも、その苦しさは、親を恨むか、何とかして自分で自分を克服するしかない。

 

せいぜい頑張ってね☆としか、言いようがない。
ただ、世界の万物や、面識のない人間を辺り構わずに恨んでいる限り、光明は絶対見えないだろう。

 

もうお前ら、それくらい解ってるんじゃないの?
ごまかしても、ひたすらしんどいだけだよ?宅間守のように。


 

宅間や麻原とオタクが、ようやく繋がった。
これでオタクの総括が急ピッチで進むだろう。
『薄暮』をやりながらというのは大変だが、全力でやろう。
年末年始は、ひたすらこれをやる。