飲み屋のカウンターの端っこで

 いつも若い彼女を連れている

 バツ2で56歳のM君が、婚約者のいる

 37歳独身女性の隣に座り、必死に口説いていた。

 「もういっぱい飲めよ、ご馳走するから」

 「明日仕事だし、酔うと起きれなくなるから」

 そんな会話が聞こえてきたので

 

 マスターに小声で

 「M君、今日は特別に強引だね、

  あの若い彼女に知られたら

  揉めるんじゃないの?」と言ったら

 マスターが

 「最近、別れたというか、

  彼女に捨てられたらしいですよ」と

 答えたので納得した。

 

 M君の女性遍歴を思い出すと

 結婚した二人も、その他の彼女たちも

 ほぼ3年目に入ると、女性の方から去っていく、

 そんなパターンで、今度の逃げたらしい

 若い彼女もそういえば丁度3年目に入った所だった。

 

 でもM君は別れてもすぐに次の彼女ができる。

 それは、自信満々、強引、マメ、

 金遣いが派手といったモテ男の特徴を

 ほぼ兼ね備えているからだ。

 

 ふと気付くと、

 37歳の独身女性の肩を抱くようにして

 M君が店を出て行く所だった。

 

 そこで、店から離れて行く

 二人の背中を見ながらマスターに聞いた

 「M君のあの自信満々な態度と

  強引さの原点は何だと思う?」って

 すると高校時代から知り合いだという

 マスターが

 「まあ、色々ありますけど

  アイツはアソコがデカイってのが

  高校時代からの自慢で

  もしかしたら、あいつの自信満々な態度は

  そんなとこからきてるのかもしれませんね」

 なんて言って笑った。

 

 そこで思った、M君のデカイという自信が

 強引さを生み出し、そしてその自信と強引さで

 女性を惹きつけるわけだが

 デカさの自信とその魔法は

 3年目には消えちゃうんだな、なんて。

 

 大きさにも形にも自信のないボクが言うと

 ヒガミに聞こえるかもしれないので

 この話題はここまでにしとこ。

 

 そういえばM君とボクを比較してみると

 アソコの問題はともかく

 女性との付き合い方が

 全く真逆だと言うことが事がよく分かる。

 

 ボクは一度誘って断られると諦めるという

 強引さとは全く無縁の男だし、

 付き合ってもマメな連絡は苦手だし

 お金の遣い方はとっても地味だし。

 だから基本はモテないわけで。

 

 でもさ、付き合い始めに振られることは

 これまで何度もあったけど

 3年以上お付き合いして、振られたこと

 そういえばボクには無いんだよね。

 

 そこがボクとM君の大きな違いだし

 それがボクの女性関係における

 たった一つの自慢かな(笑)。