以前たまに一緒に飲んだ

 40代のある寺の住職から連絡があって

 「僕、結婚することになったんです。

  ほら、Hさん彼女ができたら紹介しろって

  言ってくれてたから、連絡しました」

 なんて嬉しそうに話して。

 

 そうか、そんなこと言ったのか、なんて、

 全然覚えてなかったんだけど

 でも一応ボクも大人だから、

 「そりゃ良かった、おめでとう」と

 型通りのお祝い言って

 馴れ初めとか、彼女の何が良かったかなんて

 お決まりの質問をして。

 

 結婚を決める頃から新婚までの期間ってのは

 人生で一番盛り上がってて

 彼女のことを一番大好きな時だから

 なんでも素晴らしく思えてしまうわけで

 だから彼も興奮気味に

 彼女の良さについて熱弁を振るって

 

 <料理は上手だし掃除も大好きだし>

 <僕の両親や兄妹もとっても大切に思ってくれるし>

 <高級レストラン行くより吉野家の牛丼が好き

  なんて金銭感覚も庶民的だし>

 <それに僕の住職という職業を

  とってもよく理解してくれて>

 

 そんな惚気話を聞きながら思った。

 なるほど、40代になって結婚するとなると

 職業への理解、金銭感覚、

 料理上手や掃除好きといった家庭的な性格

 両親や親戚への付き合い方なんてことが

 とっても重要な要素になるんだなあって。

 

 そこでまた変なことを考えた。

 じゃあ不倫の恋にそんなことは必要か、なんて。

 

 不倫相手の女性に料理上手、掃除好きなんて事

 求める男はあまりいない。

 イタリアンに誘って

 「もったいないから吉野家へ行こうよ」って

 言われても感動はしないよね。

 そして自分の両親や親戚を

 大切に思ってもらう必要もないし。

 

 じゃあ生活を共にする事のない

 不倫相手に求めるものは何だろうって考える。

 

 ボクの場合ならまず

 <一緒にいて心地良い事>

 心地良い状況ってのは

 <ボクの話を楽しんで真剣に聞いてくれる>

 <その場を一緒に楽しめるノリの良さ>

 さらにその上

 常に明るく、空気が読めて気遣いできて

 触れ合い好きなら

 その以上はいらないなあって、

 これって欲張りすぎ?。

 

 ボクの古くからの友人たちで

 奥さん以外の女性と長くお付き合いしてる人は

 大体同じことを言う

 

 家庭の中では男ってのはいくら頑張っても

 なかなか尊敬されない。

 家族のために働くのは当たり前

 お金を稼いで家族サービスするのは義務

 なんて気持ちが女房や子供にはあるから。

 

 だから、彼女が

 「〇〇さん凄いね」とか

 「そんなことまで知ってるんだ」とか言って

 尊敬してくれたり、頼ってくれたりすると

 すごく嬉しいんだよね。

 なんて言うわけなのだ。

 

 まあ、男って基本は

 そんな事を喜ぶ、単純な生き物なのだ。

 

 だから褒め上手、おだて上手、嘘上手の女性は

 男にとっても好かれるというわけだ。

 

 ちなみにボクも

 褒め上手で束縛しない女性が好きです。

 この最後の文章は要らなかったか?