「<昔は良かったなあ>そう思ったら

 人生の終着駅に近づいていると

 覚悟した方がいい」

 そんな事をラジオの中の誰かが言った。

 

 確かに、ボクもそう思う。

 「どの時代に戻りたいか?」

 なんて聞かれることがあるけど

 ボクは今が一番いいっていつも答える。

 だから昔に戻りたいなんて思ったことはない。

 

 少年時代、中学時代、高校時代、大学時代

 そして社会人となり結婚して

 子育て時代があって、その子供も独立して、

 どんな時も辛いことがあって

 そしてその辛さに勝る楽しいこともあった。

 

 でもどの時代を思い出しても、

 やっぱり今が一番いい。

 

 ボクの年代になると

 過去ばかり振り返る人が多くなる

 そしてその話は自慢話が多く、

 さらに同じ話ばかりを繰り返すようになる。

 

 そういえばボクの高校の校長先生は

 当時80歳を過ぎていて、

 自分でも記憶力の衰えを気にされていたが

 学期が始まる日の挨拶はいつも

 「私も歳をとったから、

  君たちになるべく同じ話をしないように

  始業式の前の日に、前回の話の録音を聞き返し

  明日は違う話をしようと考えるんだ」って

 毎回、同じ話をされていた。

 

 そういえば、いつもの飲み屋さんにも

 昔の幸せだった日々を懐かしむように

 元彼との思い出話をする女性がいる。

 もう別れて3年近くになるのにスマホの中には、

 今も彼との写真が大事に保存してあって

 何かそんな話題になると友人に

 その思い出写真を見せるのだ。

 

 そんな彼女にもたまに

 他の男性から声がかかることもあるのだが

 未練心が邪魔するのか、

 元彼とつい比較してしまうのか

 新しい恋愛に踏み込むことができないでいる。

 

 そしてさらに悪いのが

 酔いが回ると、その大好きな元彼に

 微かな希望を抱いて

 つい連絡してしまうのだ。

 しかし別れた彼は、もう新しい彼女と

 新しい関係を築いていて

 当然彼女からの連絡は無視するわけで。

 だから、その連絡でますます嫌われて、

 彼女の方はますます落ち込むことになる。

 

 そして、そん状況を待っていたかのように

 彼女に近づくのは口の上手い

 ただヤリたいだけのイケナイワル男で

 目覚めた時には深く後悔し

 不幸の泥沼にますますハマっていく。

 

 ボクはその彼女と一度だけ

 ちゃんと話したことがあって

 その時彼女は

 「別れた原因は私にある。それは分かってる

  だからそこを変えれば、

  彼はきっと戻ってきてくれるはず」

 なんて言ったのだ。

 

 未練心の強い女性はいつも

 自分が変わればきっとよりを戻せるって

 なんか信じてるんだよね。

 

 でもそんな過去ばかり見ている人には

 人生の終着駅がどんどん迫ってくるわけで

 

 やっぱり、今を楽しみ、

 明日に希望を持つ人生にしていかなければ

 せっかく生きてる意味がない、でしょ。